深いリターンを打つコツ①

深いリターンを打つコツ①

良いリターンとは「深いリターン」に尽きる、という話は以前もご説明しました。

スピードや威力よりも、深さが大事。
初心者の方は、ピックルボール特有のルールをもう1度思い出しながら、
その理由を完全に理解しましょう。それこそが上達の近道です。
興味「深い」データ
次の動画の冒頭では次のようなデータが出てきます。
MLPのデイトナビーチ大会の48選手の統計で、リターンを放った後、サーバー側が、サードショットでキッチンに到達できたかどうかの数字です。
▶「ThatPickleballGuy」YouTubeより
良いリターンだった場合のキッチンライン到達率は49%。
逆に悪いリターンを放った時の到達率は83%。
2倍近い大きな差となりました。
この数字から分かることは、次の図のようなフォーメーションになった、ならなかった、の差が倍近くあったということです。

リターンサイドのパートナーは通常キッチンライン前に詰めています。リターナーが深いリターンを打ち、キッチンラインへと前進できれば、ネット前にいるプレーヤーは2人。
一方、リターンを受けたサーバーサイドがサードショットでキッチンラインへの進めなかった場合は、ネット前にいるプレーヤーは0人。
「2対0」。
この形では圧倒的にキッチンラインに2人いる方がポイントを獲得するのに有利な立場です。
少しでもピックルボールを経験した方なら、お分かりいただけるのではないでしょうか。
なぜ深い必要があるか?
感覚的には深いリターンが有効であることは、みなさんご存知でしょうが、なぜそれほどまでに深さに重点を置くべきなのか、改めて整理してみましょう。
①自身がネットに着く時間を確保するため
リターンが深い方がよい第1の理由として、
自身がキッチンラインへの進む時間を確保する「タイムマネジメント」の意味合いがあります。
リターンが深ければ、ボールが空中にある時間は長く、その分、走るための時間が生まれます。
相手のサーブが深い場合は、その分、自身も後退することになるため、キッチンラインまでの距離は長くなります。
スピンのかかった高い軌道や、スライスなどの回転、ロブなどで滞空時間を長くする工夫も必要になります。
②相手のサードショットを難しくするため
高いロブで、いくらリターナーが前進する時間を作れたとしても、キッチンラインすぐ後ろに落ちるような高い軌道では、簡単に叩かれてしまいます。
ピックルボールの「ツーバウンドルール」により、サーブ&スマッシュやサーブ&ボレーはできないものの、
リターンが深くないといけない最大の理由が、相手のサードショットを難しくする点です。
後方からスピードの速いドライブを打ち込んでも、余裕を持ってキッチンラインに進んだあなたをミスさせるのは、距離が長く反応時間も十分なため、かなり難しいでしょう。
ベースライン後方からネットを越えるには、ある程度、距離を出さないとダメなため、ボールが浮いてしまう可能性も高くなります。
サードショットドロップの場合はより顕著です。
ネットとの距離がある位置からネットを越えて相手の足元付近にうまく落とすのは
ターゲットが、かなり狭く、相当難しいテクニックになります。
皆さんも十分過ぎるほどご存知でしょう。
うまく沈めることができても、サードショットでそのままキッチンに進むためには、結構な距離が残っていますね。
深いだけでなく、トップスピンや低い弾道のスライスで、相手を打ちにくくする工夫を加えれば、その効果は倍増します。
③自身がポイントしやすくするため
②の状況が作り出せていれば、そのままサードショットのミスで、ポイントが終わる機会も多くあるでしょう。
サーバーサイドがうまく処理して、リターンサイドが4球目のショットを打つ場合を、考えてみましょう。
深くリターンできていれば、おそらくかなりの確率で、
冒頭の図で示した「2対0」のフォーメーションになっているでしょう。
ネットに着いているあなた方は、完全に有利な形からスタートできます。
しかも、相手のサードショットは、あなたに向かって猛烈な勢いで向かってくるボールではないでしょう。それなりの高さのドライブか、足元だけを気をつけておけばいいドロップ、そして多くの場合は攻撃できるボールでしょう。
- あなたが前に詰めていることで、次の相手の反応時間を削ることができます。
- 高低の角度は、前にいる分、圧倒的に有利で、上から攻撃できる確率はグンとアップしています。
- コートカバーの面積を考えても相手は圧倒的に不利です。
あなたは落ち着いてプレーさえすれば、
かなりの確率で、そのポイントを勝利することができるでしょう。
練習次第で「天と地」の差
確かに相手からのサーブを予測し、リターンするというテクニックは必要ですが、テニスのように200キロ近いのサーブで優位性を保つ必要はありません。
確実に深く返球することで、わずか3球目で多くのフリーポイントが得られ、圧倒的な有利な立場からスタートできるのが、ピックルボールのリターンです。
細分化して考えれば考えるほど、その深さが重要な理由が、お分かりいただけたのではないでしょうか。
深いリターンは単なる返球ではなく、次の展開を主導するための「攻撃準備」です。
逆に浅く浮いたリターンになれば、イッキに相手に主導権を奪われ、「2対0」という数的アドバンテージが「2対2」のイーブンに一変し、かつ自分たちにとって厳しいボールからスタートする状況となります。
まさに「天と地」ぐらいの差がありますね。
この「深~い」視点を忘れずに、ぜひ練習を重ねて下さい。
次回は、実際に深く打つためのコツをお伝えします。












