トライアングル効果とは?

トライアングル効果とは?

ピックルボールのダブルスで「トライアングル効果」(Triangle Effect)という言葉を耳にしたことはありますか?
前回3つの角度についてお話しました。今回はそれを発展させたようなカウンターの方向に関する考え方です。

以前から「シーソー効果」(Seesaw Effect)という上下の関係を意識することで高低の反応をかなり早くできるとお伝えしてきました。

今回は、味方2人とボールを結んだ三角形の関係(トライアングル)を意識することで、理想的なポジショニングとコートカバーを生み出すことに役立つという考え方をご紹介します。
プロは返ってくる方向を知っている
なぜプロや上級者は、至近距離のカウンターに素早く反応できるのでしょう。
それは経験則で、より返ってきやすい方向を事前に予測しているからです。
次の動画でも、そう断言されています。
▶「ThatPickleballGuy」YouTubeより
では、事前に知識として入れられるパターンにはどのようなものがあるのでしょうか?
順を追って、シンプルなものから紹介していきましょう。
スピードアップ:ストレートの場合
右サイド:相手のバックで打たせた場合→ストレート
男子プロ、タナー・トマッシ選手の次の動画を参考にさせていただきます。
▶「tanner.pickleball」YouTubeより
キッチンラインに進んだ4人全員が右利きと仮定します。
あなたは右側プレーヤー「A」です。
ストレートにスピードアップ。
正面の相手「B」のバックを狙いました。
次に「B」カウンターされた場合、どこにボールが来る可能性が高いでしょうか?
正解はもう1度ストレートに返ってくることが多いです。
ですので、正面に戻って来るボールに備えましょう。
通常バックで構え、浮いてきた場合はフォアで打つ時間があるでしょう。
速いボールでフォア側に来た場合は、相手のボールがサイドアウトの可能性も高くなります。
仮にスピードアップがバレていた、もしくは完璧に対処され、ややセンター寄りに来たとしても、正面から自身の左側に来るボールまで予測しておけば、落ち着いて処理できそうですね。

この場合は直線的で三角形にはなりませんが、これは例外と考えて下さい。
「C」はボールを追ってややセンター側に詰める必要があります。
右サイド:相手のフォアで打たせた場合
では同じく「A」がややクロス気味、正面「B」のフォア側で打たせた場合はどうでしょうか?
正解は逆クロス方向の可能性が高いです。
ですので「A」はスピードアップしたら、すぐにバックでセンターに備えます。
パートナーの「C」はセンター側に詰める必要がでてきます。

ここの陣形で三角形が生まれていますね。
これがトライアングル効果というわけです。
左サイド:相手のフォアで打たせた場合
同じくストレート方向で考えます。
今度は左サイドプレーヤーの「C」がストレートにスピードアップ。
真正面の相手「B」のフォア側を狙いました。
この場合も、予測できるカウンターの方向はストレート。
バックで正面のカウンターに備えましょう。

相手の正面なのでバックで反応してくれれば、この通りで問題ないですが、
ある程度の余裕を持ってフォアで打たれた場合はどうなるでしょうか?
スピードアップが予測されており、キチンと対処されれば、ややセンター方向、クロス気味に来る可能性も出てきます。
その場合は、バックで構えていたあなたの右側そば、ペア2人のセンターに来る可能性もでてきます。
私の場合は、ここでよくセンターを抜かれます。
自分のバックのスピードアップの精度自体が良くなく、甘くなる場合が多いからです。
相手「B」がチキンウィングの体勢にならず、うまくフォアでパドルを立てて処理されると一転、ピンチになります。
自身はバックの予測をして構えています。逆を突かれ、フォア側に逃げていくボールになると、バックで処理できる範囲は限られるため、ついセンターボールを「A」に任したいと思ってしまいます。
結果、自分寄りのセンターの球も見逃してしまうというわけです。
左サイドで相手の真正面に打つ場合は、
ある程度リスクがあることを覚えておく必要があるでしょう。
左サイド:相手のバックで打たせた場合
同じく左サイドプレーヤーの「C」が正面にスピードアップ。「B」のバック側、ややクロス方向に打った場合はどうなるでしょうか?
この場合は、圧倒的に逆クロス方向にカウンターが返ってくるケースが多いでしょう。
「C」はフォアでセンターケア。「A」も中央に寄り、逆クロスのボールに備えます。

スピードアップ:クロスの場合
では今度はクロスにスピードアップしたケースを考えてみましょう。
右サイドプレーヤーの「A」が対角線に立つ「B」を攻めました。
「B」の反応をうまく遅らさせ、バックで取らせた場合は、ストレート側に来る可能性が高いでしょう。
すなわち「C」側に来ると、想定しなければなりません。
パートナーがクロスにスピードアップしたら
次のカウンターは「自分に来るぞ!」と脳にインプットしておくことが大事です。

逆に言えば、「A」はそれを分かった上で、クロスにスピードアップしなければなりません。
「C」が反応できていないのに、むやみにクロスにスピードアップしては、
自分のパートナーを、自分で苦しめていることにもなりかねません。
「弱いBのバックを攻めたいから、あなたの正面に来るカウンターのカバーをお願い」と、事前に連係を取れるといいですね。
クロス方向はそもそもストレートより距離が長く反応時間が増えるため、スピードアップしても返球の可能性が高まります。
甘くなればパートナーが狙われてしまう、というリスクも考えなければなりません。
注意すべき点
①入射角と反射角
なるべく細かくシチュエーションを分けて見てきましたが、すべてのパターンをご紹介することはできません。
最もわかりやすく考えるならば、自分が壁に向かってボールを打った時を想像してみて下さい。
クロスに引っ張ったらボールは自分の左側、すなわちパートナーの方へ。パートナーが逆クロスに打てば、自分側へ。正面に打てば正面に返ってきますよね。

テニス経験者の方は、この「入射角」と「反射角」について、学んだことがある方も多いのではないでしょうか。
これが最も無理なく、フェイスが自然と向く方向というわけです。
大事な場面や緊張する場面ほど、
無理せず、この法則通りの方向へ打ちたい傾向が強くなります。
ピックルボールの場合、約7割が、この法則通りにコース決めされている、という解説を読んだこともあります。予想するうえで大いに役立つでしょう。
②肩や腰の向きにも注意
もう1つお伝えしておきたいことがあります。
それはせっかく「トライアングル効果」を理解し、予測が合っていたとしても、その方向にキチンと体が向いていないというプレーヤーがよく見受けられることです。
キッチンラインに真っ直ぐ立って、首だけを飛んでくると予想した方向に向けるのではなく、
肩、腰のラインを、その方向にきちんと合わせる意識を持って下さい。
ほんの少しの差ですが、反応時間が勝負のピックルボールでは、このわずかな傾きの差が、
テイクバックが大きくなったり、打点がズレるミスにつながります。
法則外れた時は
上下の「シーソー効果」だけでなく、この左右の「トライアングル効果」を意識することで、
返球の確率はさらに上がり、ダブルスの連係も格段にスムーズになるはずです。
練習中、コートを外れて他のプレーヤーのプレーを見る機会があったら、ディンク合戦中の4人を観察して、
スピードアップのタイミング、それを受けたプレーヤーの返球の方向を、ぜひ予想して見て下さい。
多くの場合が、この「トライアングル」通りに進んでいくはずです。
もし、予想と外れた場合があった際は、予想とは違う方向に打ったプレーヤーが、どんなテクニックを使ったのか、ジックリと観察しましょう。
例えば、両手バックをうまく使えるプレーヤーなら、ストレート方向にスピードアップされても、後方の打点からクロス方向に引っ張ることができる上級者もいるでしょう。
体の正面に来ているのに、バックでは取らず、体を沈めてフォアで「スコーピオン」を繰り出し、角度を生み出してくるプレーヤーもいるかもしれません。

ただし、それらの「特別なプレー」は限定的で、
必ずなんらかの事前モーションがあるはずです。
今後の参考に、ぜひその「クセ」「データ」をインプットしていきましょう。












