スコーピオンって何だ?

スコーピオンって何だ?

皆さんは「スコーピオン」と呼ばれるショットはご存知でしょうか? 私は、その呼び名は知りませんでした。ですが、軟式テニス経験者でピックルボールに転向されてきたプレーヤーが頻繁に打っているのを、目の当たりにしてきましたので、その威力は分かります。
自分が決めに行ったボールを、このカウンターで逆転されると、なかなかショックを受けます(笑)。
フォアのカウンター
まずは見ていただいた方が早いですね。次の動画をご覧ください。
コート手前の左側の選手が、ネットのやや下からスピードアップしてくると、
奥左側の選手が膝を曲げしゃがむような体勢から立てたパドルを下方に押し込むカウンターを打ちます。
「Kevin Dong Pickleball」動画より
このパドルを頭上に上げた状態が、サソリが毒針を立てたような姿に見えることから「スコーピオン ショット」、「スコーピオン カウンター」と呼ばれているそうです。

胸より上でヒット
次の動画では、ベン・ジョンズ選手の兄でもある、トッププロ、コリン・ジョンズ(Collin Johns)選手(31歳)が、ショットのコツを解説してくれています。
基本通りならバックボレーで打つ位置ですが、相手のボールがネットの下から上方に向かってきた際が、このフォアのカウンターの狙い時です。
さらに相手が自分のバックの脇が開き、力の入りづらいチキンウイングとなる位置、すなわち右肩周辺をターゲットにしていると予測した際に使います。
素早くフォアの厚いグリップにチェンジします。そして、できる限り地面に近い低いポジションから、ヘッドを立てたパドルを、わずか下向きにパンチングします。下に打ち出す形になるため、相手のボールが上から来るとネットにかかりやすくなってしまいます。
コリン選手は低い姿勢を取った後、胸の高さより上でとらえることを推奨しています。
▶「The Pickleball Clinic」動画より
至近距離攻防戦で使う
同じくプロのゼイン・ナブラティル(Zane Navratil)選手(29歳)は自分のボディー付近に来ると予測した際のみ使え、体より遠いコースに来ては対応できない、と話しています。
相手との距離が近く、かつ正面に立っていて、自分にぶつけてくると分かった時に、瞬時にこのスコーピオンの姿勢になるのです。
相手との距離があり、正対していなくて角度が付けられる状態だと、簡単に読まれてサイドを抜かれてしまいますものね。
▶「Zane Navratil Pickleball」動画より
とはいえ、うまく決まれば、相手は完全に決まったと思ったショットに対して、一発逆転を呼ぶ強力な武器となります。
ネットしてしまうリスクはありますが、ネットを越えれば、相手の足元に突き刺さる角度になるため、強烈なカウンターとなります。
それでも、返ってくることもありますから、低くした姿勢をすぐに立て直し、次のショットに備えることを忘れないでください。
ナイスネーミング
軟式テニス出身で厚いグリップのプレーヤーなどが、フォアのカウンターショットとして使っている方もいるかもしれません。ですが、アメリカでは知られているショットのネーミングまでは、日本では、あまり広く浸透していないと感じます。
スコーピオンとは、そのショット前の姿勢そのままの命名といい、物陰から忍び寄る雰囲気といい、「必殺技」感があっていいですね~。
私の大好きな必殺技シリーズ、次回は「トマホーク」と呼ばれるショットをご紹介します。