ドロップを極めよう①

ドロップを極めよう①

大阪から情報発信中の私「ピックル坊や」はテニス経験者です。
ドライブやテニスで言うアンダーハンドサーブなど、テクニックがほぼ同じで、習得がスムーズだったショットもたくさんあります。
一方でボレーで足を踏み込んでしまう、ディンクが飛びすぎてしまうなど、テニスの経験、クセが逆に習得を難しくしていると感じるものもあります。
その最たるものの1つが、「サードショットドロップ」です。
テニスのドロップショット、いわゆるハードヒットすると見せかけて前に落とすショットではありません。
ベースライン付近から相手のネット前、浅くにボールを送って、自分がネットに着くショットです。
今回はテニスのショットとの違いを3回に分けて深堀りしたいと思います。
テニスのイメージを消そう
まずはテニス経験者の方が抱いているだろう、スピンのイメージについて考えたいと思います。
トップスピン、順回転のスピンをかけましょう、と言われると、下の図のようなイメージを持つ方は多いのではないでしょうか。

少なくとも私はそうでした。
テークバックの時点でラケットヘッドは立っており、前足を踏み込んだ後、ラケット先端の重みが助けとなるように、ヘッドダウンが自然と起きていきます。
Cの字やナイキのマークと言われるループ状のスイング軌道が発生し、クローズド気味に閉じたフェイスが、やや開き上方に上がってきたところで、ボールを捉えます。
潰されたボールがストリング(ガット)に食い込み、
引っかかったボールは上に持ち上がるような縦回転がかかり、ボールが打ち出されていく。
これこそが、トップスピンだと。
スピンをかけたつもりでも短くならない
ピックルボールで、ベースライン付近からドライブを打つ場合は、確かにこのイメージで似ています。
「テニスよりもテークバックはコンパクトに」というアドバイスさえ守れば、十分に転用可能でしょう。
ですが、ピックルボールのドロップショットでは、私は、このイメージではどうしてもうまくいきませんでした。
距離を短くしようと、スピン量を上げようとすればするほど、パドルの動きは急激な変化を伴った、短く速いものになります。
1度成功したと思っても次のショットは失敗。
本当にわずかな打点の差、距離の差でミスが出て、全く一貫性が保てなかったのです。
テニスのトップスピンの回転数は4000RPMS。一般プレーヤーでも2000~3000RPMSほど。
一方でピックルボールはトッププレーヤーでも1400~1500RPMS。
以前もお伝えしたよう、どんなに頑張っても、テニスの半分以下の回転数しかかかりません。
またボールに穴が空いているため、マグナス効果(上部と下部の空気抵抗の差)によってボールが急激に降下する影響も、テニスほどは出にくいのです。

回転数で距離をコントロールできる範囲は、テニスよりピックルボールの方が、はるかに短いということが、分かります。
そもそもテークバックが違う
「テークバックを小さくする」と聞くと、テニス経験者の方は以下の図のようなイメージを持ちませんか?
グリップエンドがネット側に向けられ、フェイスは地面側を向いています。

確かにヘッドが立つような大きな動きはありませんが、この位置から残りのCの字を描いていく、すなわち最初の3分の1ぐらいを削った軌道で、スイングしようとしませんか?
テニスにおいて、スピンをキッチリかけられるという自負があれば、なおさらそうでしょう。
ですが、ピックルボールにはガットがありません。
確かに表面にボールが滑らないようにするザラザラはありますが、接触時間もテニスよりはるかに短く、ボールを上方に押し上げるような力が働くようなものではありません。
パドルの規定で「動摩擦係数」という基準があり、0.1875 以下になるよう決められています。
Cの字ではなくIの字
ようはボールをパドル面で引っ掛けて擦り上げることはできないのです。
ボールの下にパドルを差し込み上方向にキッチリ押し上げる必要があります。
ですので、下の図のようにパドルフェイスは打ちたい方向に向けられた完全にオープンな状態になります。
ここから上方向にすくい上げるような軌道になるのが正解なのです。

Cの字や、もっとスピンをかけようと急激なUの字のスイング軌道を描こうとしていた私にとっては、驚きのイメージ転換でした。
下から上へ、まっすぐとIの字を描くイメージを持つと、自然とうまく行くようになりました。
メディシンボールなどの重たいボールをパドルで押し出すイメージ、ボウリングのフックボールをバックスイングせずに打ち出すイメージなどの表現に出会ったこともあります。
どうでしょう? あなたが抱いているイメージとだいぶ違うのではないでしょうか。
次回はイメージを変えてうまく行くようになったテニス経験者の実例を見ていくことにしましょう。
