サーブまでのルーティン

サーブまでのルーティン

ピックルボールを始めて最初の頃は、サーブをどうやって打つかが気になりますが、しばらく立つと、どうすれば相手に効果があるかが気になり始めます。
そして今、上級者プレーヤーはどうしているのか気になる段階です。
今回はリラックスして打つために非常に重要とされる、ルーティンについて考えたいと思います。
ボールをバウンドさせる
サーブを打つ前、あなたはコートでボールをバウンドさせていますか?
次のスローモーション動画には、トッププロのタイソン・マクガフィン(Tyson McGuffin)、ベン・ジョンズ(Ben Johns)の2選手らが登場します。
7年前と少し古く今と変わっている点もあると思いますが、参考にさせていただくには十分です。
▶「PrimeTime Pickleball」動画より
マクガフィン選手の場合
まずはマクガフィン選手。
次の3年前の動画でよく分かりますが、ベースラインからおよそ1メートルぐらい後方に立っています。
1度パドル面にボールを接触させた後、ボールを1度地面にバウンドさせながら、左足を前に踏み出します。
左足はベースラインから半足分ぐらい後方に着地しています。
そしてもう1度パドル面にボールを軽く接触させた後、相手の位置を確認して、すぐに打ち出していきます。
スタンスはセミオープン。
前足の左足のつま先は相手と真っすぐ線で結んだ方向というより、やや閉じた形になっています。立ち位置はかなりセンターライン寄り。距離を短くして、パワーサーブの威力を少しでも高めようという意図が見えます。
両膝が曲げられ、重心は低い位置から、トップスピンをかけている様子が分かります。
スピンがかかりやすいように、パドル面はずっと右サイド(最初の動画でのカメラ側)をずっと向いたままです。インパクトの瞬間、両膝が伸び、前足を支え棒のように使うことで、体重が前に流れ過ぎるのを抑え、スイングスピードを上げています。
軸足の位置はまったく変わらず、打ち終わった後もベースラインから半足分、後方に居続けています。
ベン・ジョンズ選手の場合
先の動画ではカットされているようですが、現在のベン・ジョンズ選手は、まず下を向きながら3~6回ボールをバウンドさせます。
▶「Ed Ju」動画より
気持ちが決まったタイミングでパドル面にボールを接触させ、相手を見ます。
立ち位置はかなりセンターラインぎりぎり。クローズドスタンスで左足の前足はベースラインから半足分ほど離れた位置。前足の先は打ち出す方向よりやや閉じた状態に見えます。
打ち出す際には左肩と右肩を結んだラインが少し上方を向き、スピンをかけやすいよう、パドルをボールの下に入れているのが分かります。
インパクトした後、後ろ足の右足はヒップローテーションに付いていくように自然と前に出て、ベースラインの50cmほど前で着地します。
(最初の7年前の動画では足は後ろに残ったままです)。
無用な力感はなく、非常にナチュラルな動きでパワーを生み出している印象です。
硬くならないため流れで打つ
分かったことは、回数に違いはあれ、ほぼプロはボールをサーブ前にバウンドさせていることです。
そしてシームレスな流れの中でサーブを繰り出しているということです。
サーブでミスする大きな理由として、緊張して下半身をうまく使えず、上半身が力んでしまうということがあります。
ボールをバウンドさせることで、下半身を柔らかく使い、次の上半身への動きをリズムよく作っていると言えるでしょう。
ボールとパドルを接触させる意味
パドルにボールを1度接触させてからサーブを始める選手が多いことも印象的です。
キチンとスイートスポットの位置を確認してインパクトして最大限の回転数を生み出すためのデモンストレーションのようなものでしょうか。
次の世界ナンバーワン、フェデリコ・スタックスルド(Federico Staksrud)選手のサーブを解説する動画では、「彼はパドルとボールのつながりを意識して、スイートスポットの場所を確認している。これは素晴らしいことです」と解説されています。
▶「Pickleball Playbook」動画より
立ち位置は?
以前、オープン、クローズドスタンスどちらが良いのかという話題も取り上げました。

スタンスは打ちたいサーブの種類やコースによっても様々でした。
そしてセンターラインからの位置はどうでしょう。パワーをスピードを活かしたい場合、角度をつけたい場合を除いては、
完全な対角線ではなく、ややセンターライン寄りに立つプロが多いと言えそうです。
もちろん、どれぐらいの距離が打ちやすいのか人それぞれでしょうが、相手との距離を短くした方が、相手の時間を奪うことができるのは確かです。
次にベースラインからの距離ですが、最終的にインパクトするのはラインに近い場所の方が良いのでしょうが、これもサーブの種類や目的によって様々なようです。
2ステップサーブ
次の動画では元テニスのWTAルアープロでもあるトッププロ、ケイトリン・クリスチャン選手(Kaitlyn Christian)のサーブが見られます。
ベースラインの2メートル後方から2歩進んでキレイにサーブを打ちます。
最後に右足は大きくベースライン内側にステップインしてフィニッシュ。
下半身の力を最大限に使っていることが分かります。
「打つ直前に右足に力を入れ、体幹に爆発的な力が生み出せるよう意識している」そうです。
▶「Ed Ju」動画より
とにかく自然の流れの中で打っていますから、これなら下半身が硬くなる現象に悩まされくて良さそうです。
ですが、ベースライン1mほど前でフィニッシュしているので、次のボールに備えて素早くベースライン後方に下がらなければなりませんね。
なかなか運動量が必要で、タイミングを合わせるも難しそうですが、1歩踏み出す1ステップサーブなら、私レベルでも試してみる価値はありそうです。
上手いプレーヤーの動きには、やはり何らかの理由があります。
テニスのサーブでも様々なルーティンや動きがあり、よく後ろ足を動かすか動かさないかが議論になります。ピックルボールは2ステップや1ステップ踏むスタイルもあるのですね。
あなたも、周りにいる上級プレーヤーの何気ない動きを、じっくり観察してみてはいかがでしょうか。