チキンウィングを防ぐ方法

チキンウィングを防ぐ方法
右肩や右腰付近をスピードボールで狙われた際、肘が上がり、返球しづらくなる状況に陥った方、いらっしゃいますよね? これが「チキンウィング」と呼ばれる状態です。

この「弱点」を回避する方法を考えます。
なぜ打ちにくのか
なぜ「チキンウィング」になると打ちにくいのか、まず細かく分析していきましょう。
相手はフォアとバックのちょうど切り替えの位置、右腰から右肩にかけてのラインを狙ってきます。
正面はバックで処理するというのが基本でしたよね。
この「教え」が頭にあるので、フォアで処理すればいいものを、バックで処理することに固執するあまり、深負いしすぎて、ドンドン脇が上がって行きます。
パドル面を前に向けようとすると、手首は内側に折り曲げなければいけません。
ですが、肩の可動域の限界を迎える顔付近では、パドル面は上を向き始めます。
パドル面をなんとか下向きに保持しようとすると、もはや体を伸び上がらせるしか方法がなくなります。
これが「チキンウィング」の正体という訳です。

①バック寄りに構えすぎない
相手が打ち出す前から、拳を前に突き出すように、バックの面を向けているプレーヤーがいますが、この準備姿勢だと、どうしてもフォアに切り替えるタイミングを失いがちです。
パドルの先端を相手に向けるようにします。
時計の針の角度で言えば11時かやや12時方向に向けるのが、ニュートラルな状態です。
肘がやや曲がる程度に前に突き出してください。脇を閉めすぎなくても大丈夫です。この「遊び」があることで、速いボールで攻められても、詰まりすぎないようになります。
最初からバックの面を向け腕だけで操作しようとすると、どうしても脇が開いてしまいます。
動画のように
フォア、バック、どちらにでもすぐに対応できるレディーポジションを心掛けましょう。
▶「tanner.pickleball」動画より
②スライドして回避
なぜ打ちにくいかを理解できれば、とにかく右腕の付け根から右腰に沿った「危険ライン」にボールを入れなければいいということが分かります。
そのため、時間があれば、足を左か右かに半歩ズラします。
相手が右肩のラインに打って来ると予想できフォアで打つと決めれば左足側へ。バックで打つと決めれば右足側に、サイドステップします。
動きながらでも、右肩のラインを、ボールの軌道の真正面から逃がすことさえできれば、比較的簡単に打つことができます。
「スライディング」と呼ばれるテクニックです。
③シフトで回避
以前、「バックのカウンターを極めよう①」でもご紹介しました。「スライディング」では間に合いそうにない場合、小さくジャンプするように、イッキに体重を移し替えて処理します。

「シフト」と言われるテクニックです。
フォアが打つなら右足から左足へ、バックで打つなら左足から右足へ体重移動してください。
次の動画では「スライディング」「シフト」ともにデモンストレーションが見られます。
▶「Zane Navratil Pickleball」動画より
④グリップチェンジする
そもそもバックで構え、バックで深追いしてしまうのはなぜでしょう。以下の動画で、分かりやすく解説してくれています。
フォアで正面のボールを打とうとすると、どうしても右肘が右腰に当たって動きを邪魔する形になります。
この形も「チキンウィング」同様に居心地が悪いです。
しかもある程度可動範囲がある「チキンウィング」よりも、すぐに詰まってしまうので、グリップが薄めの人はバックで処理したくなります。
▶「Troy Akin」動画より
これを回避するには、少しでもいいのでグリップチェンジすることです。
少しフォア側に厚くして、みてください。
コンチネンタルからイースタングリップ寄りにズラしていくと、ある瞬間、俄然、前で打ちやすくなるポイントが生まれるはずです。
この形なら肘が腰に当たらないよう空間ができていて、体の正面でも自然と腕が前に出せるはずです。
そもそも時間がない中でグリップチェンジは難しいです。
ですが、どうしても正面が苦手な場合、基本グリップを少し厚く持ちように変えて、バックは両手で処理する形にすることもできます。


また相手がネットよりやや下から打ち上げて来る場合は、右腰は狙いにくく、右肩周辺に来る可能性が高いです。
こうなると、グリップを厚く握り変えながら体を沈め、フォアでヤマ張りするのもありではないでしょうか。
ウエスタングリップ、いわゆるパンケーキグリップで打つ「スコーピオン」は、この理屈です。

バック側に来れば、フォアと同じフェース面でを打ちます。これが「トマホーク」です。

ヤマを張る分、読みが外れた時のリスクはあります。ですが体より近い部分は圧倒的に力を入れやすくなります。
日本の方には馴染のある「軟式ボレー」スタイルなら、「チキンウィング」の心配は、ほぼ皆無となります。
大事なのはリラックス
体の正面に速いボールを打たれると無意識の恐怖心からか、体が硬くなって余計に伸び上がるような姿勢になりがちです。
素早くパドルを動かすには、とにかく変な力みをなくして、ゆったりと構えることが大事です。
腕をチキンのような形にするのではなく、心に羽根が付いたかのように、スピードボールも軽~く受け流したいものですね。