なぜ正面はバックボレー?

なぜ正面はバックボレー?

ピックルボールのキッチンラインでの攻防を考えてみて下さい。できるだけネットに近く、できるだけ高い位置で、ノーバウンドでボールを処理することが重要です。
この時、多くのプレーヤーが無意識でやっている判断があります。それは「正面はバックで打った方が安定する」「バックの方がフォアより前で取れる気がする」というものです。
この感覚は本当に正しいのでしょうか?
今回はその理由を、「縦のリーチ」という視点から整理します。
バックの方がリーチが短いはずだが
一般的によく言われるのが「バックの方がリーチが短い」という言葉です。
確かに左右の場合は届く範囲は狭くなります。右利きだと、右腕の長さとパドルの長さ分、右サイドにさわれますが、左サイドは、その半分ほどの距離になってしまいます。
これは誰もが体感している事実です。
フォアの方がリーチが長く、強く打ちやすい、なのに、正面はなぜバックで打つべきなのか?
皆さんも、1度は疑問に思ったこと、ないですか。
実はこれ、感覚や好みの問題ではありません。
体の構造と重心の位置に理由があります。
体を前に伸ばして打つ場合
ここで扱う「正面」とは、次の条件を満たす場面です。
- 両足はキッチンラインを越えない
- 打った後もバランスを崩さない
- ノーバウンドのボールを空中で捉える
すなわち、キッチンライン付近で、体を前方に伸ばしてボレーのフリックやロールを行なう状況です。
このとき、前方にどこまで届くかを「縦のリーチ」と呼びこと、とします。
体の重心は明らかにバック有利
なぜ正面のボレーはバックで取った方がいいのか?
結論から言うと、「重心が崩れにくいから」です。
右利きのバックハンドボレーでは
- 打点が体の正面、やや左側
- 肘が体に近い位置に収まる
- 胸と骨盤がネットに正対しやすい
- 上体だけを前に伸ばしやすい
このボディーバランスを考えると、体幹付近、足の間に重心を残したまま、ボールを処理しやすくなります。
結果として、体が前に倒れ込まず、打点が安定しやすい、という条件を、自然と満たします。
フォアが不安定になる理由
一方、フォアハンドで正面のボールをボレーする場合を考えてみましょう。
- 打点は体のやや右前方になる
- パドルを体の外側に出し引く動作が発生
- 右肩がライン正対より少し後方にひねられる
- 外から内に振り出すため上体が前に出やすい
この一連の動作で起こる重心の移動によって、
ボールをネットに打ち込んでしまう、打点が乱れオーバーしてしまう、バランスを崩しノンボレーゾーンに侵入してしまう、などの
ミスにつながりやすくなってしまうのです。

「縦のリーチ」はバックが長い
あくまでよりイメージしやすくするための、目安になりますが、
身長170cm、平均的リーチの右利き男性を想定すると
- バックハンド正面→キッチンラインから約30~35cm前まで重心を保ったままボレーが可能
- フォアハンド正面→約25~30cm前が安定の限界、それ以上は前のめりになりやすい
わずか数センチですが、この差が「取れる・取れない」「安定・不安定」を分けます。
上級者が「正面はバック」と言う理由
多くのプロやコーチが、
- キッチンではバック基準で構える
- 正面は迷わずバック
- 無理なフォアボレーを減らす
と教えるのはなぜか。
バックハンドは、
- 体幹が崩れにくい
- 重心が前に流れにくい
- ボールが浮きにくい
という、
最も安全な選択だからです。
判断が一瞬で求められる正面の処理をバックに固定することで、フォアかバックかの迷い自体も消えます。
理屈を知ればミスは減る
「横のリーチ」はフォアが有利。しかし「縦のリーチ」はバックが有利。
この違いを理解するだけで、キッチンラインでのミスを大きく減ります。
フワリとリセットされた相手からのボール。身を乗り出して、バックでうまく打てた。同じような距離で次はフォアに来た。
「ヨシ決めてやる!」と強打しようとすると、今度は体が前のめりになってネットミス。
「あれれ、力んじゃったせいかな?」
こんな距離感のズレ、感じたことはありませんか?
このミスの原因、
フォアの方が「縦のリーチ」が短いデメリットを意識していなかったから、ではないでしょうか。
キッチンでの正面のボールは、「フォアとバックどちらのショットが強いか」ではなく、「どちらのショットが崩れないか」で選ぶべきです。
バックの方が動きがコンパクトで次の備えが早いというのも、もう1つの大きなメリットです。
正解は「迷ったらバック」。
もちろん、フォアで十分、届く距離、高さなら、回り込んで、よりパワフルなフォアで仕留めちゃってください!











