トップスピンのバウンドを攻略する

トップスピンのバウンドを攻略する

以前、「ピックルボールとテニスの違い①」という回転の項の中で、ピックルボールのトップスピンは「低く伸びるように感じる」とお話ししました。

先日も私自身、上級者の方とプレーした時にこの現象に遭遇しました。強烈なトップスピンボールが、まるでバウンドしていないかのように見えて、パドルの下を、スッとすり抜けていきました。完全に空振り……。
こんな経験、皆さんにもありませんか? 今回は強烈なトップスピンがかけられたボールを、どう攻略するかを詳しく解説します。
トップスピンは「伸びる」回転
まずは前回のおさらいです。
アメリカの有名テニスコーチ、ジョー・ディノファー氏の実験では、トッププロの上限とされる1400RPMのトップスピンをかけたボールは、
6.7mもの距離を滑るように移動しました。
一方、同じ地点に落としたフラットボールは3.35m。
なんと2倍です!
コート半面の長さは6.1mですから、スピンボールは半面をオーバーするほどの伸びをする計算になります。
まさに「あれ? バウンドしてなくない?」と錯覚するほどの伸びです。
▶ジョー・ディノファー氏の実験データより

なぜ思ったより跳ねない
相手のスイング軌道から、ボールに強烈なトップスピンがかかっているのはすぐに分かります。
しかし、テニスのように大きくバウンドしないのはなぜでしょう。それは次のような物理現象が原因です。

トップスピンとは、ボールが進行方向に向かって、前向きに転がるような回転が生み出されている状態です。
ボールがバウンドする時、
前回転→地面を前に「蹴る」力が生まれます。。
もう少し正確に言うと
という仕組みです。
その結果、ボールは跳ねながら前に押し出されるように進むため、
「バウンド後に一瞬伸びた」ように感じるわけです。
テニスとの違いが空振りを生む
テニスでも同じ物理現象が起きています。しかし決定的な違いがあります。
テニスの場合
- スピンボールは高く打ち上げる軌道を描く
- ストリングスの影響で回転数が高い
- 空中で急激に落下する
- 地面に刺さるように入り、高く跳ね上がる
- 2バウンド目までに時間がある
ピックルボールの場合
- ボールが軽く、表面が硬く滑る
- 穴の構造で回転が落ちにくい
- 弾性が低く潰れにくい
- 摩擦で前に押される効果が高い
- 高さが出ないまま前に伸びる
つまり
ピックルボールのトップスピンは「高く跳ねる回転」ではなく「前に滑る回転」なのです
テニス経験者が空振りしやすい原因は、この「認知のギャップ」にあると考えられます。
攻略の3ポイント
ではトップスピンをいかに打ち返すか、ここからが本題です。より具体的に相手が低い弾道の深いトップスピンサーブを打ってきたと想定しましょう。
①なるべく頂点で取る
トップスピンサーブはバウンド直後が最も伸びを感じる区間です。
ボールがバウンド後、上昇している最中で打つ、ライジングはリスクが高く、テニスの感覚で打とうとすると、パドルの下を抜けていきます。


頂点付近、最初に減速が始まるタイミングで打つ。
これだけで安定感が大幅に上がります。
下降中に取るのも考えたいですが、バウンド後6.1mも移動するんでしたよね。後方にかなり下がることになるため、実戦では現実的ではありません。
伸びると分かったうえで、できる限りボールの真後ろに素早く入り、ボールの勢いに負けないように踏み込んで打っていきましょう。
②低い小さなテイクバック
テニス経験者がやりがちなのが
- スピンだ!
- 跳ねるぞ!
- テイクバックを高くしなくちゃ!
この思い込みが空振りの主因となります。
コートサーフェスにもよりますが、実際の打点は
くるぶし~膝の高さまでのかなり低い位置です。
低弾道の場合はなおさら低くまるで転がっているかのように感じます。
テイクバックは出来る限り速く、小さく、そして思い切り低く
膝をしっかり曲げて下半身を低く
この2つがセットの準備で非常に大事です。
③強打を避ける
相手のスピンの伸びに対して、「負けじと回転をかけよう」、「強く返そう」とすると、弾道が低いので打点が合わずミスが増え、最悪の場合は空振りしてしまいます。
ややディフェンシブになりますが、
時に無理せず、深いスライスで返球することも考えましょう。
安全なフラットや、ロブも選択肢です。
相手のボールが低ければ低いほど、返球の優先度を安全に寄せることが重要です。
ピックルボールでは「スピンにはスピンで対抗する」というフィジカル派にありがちなテニスの感覚は禁物です。
トップスピンは最強の武器
テニスのトップスピンは、高く跳ね相手を後方に押し込むショットとのイメージが強いですが、
ピックルボールの場合は、低く滑り、相手に最も難しい低い位置で取らせる、強力な球種と言えます。
だからこそ、自分が使えば強力な武器になりますし、相手が使ってきたら、慌てず今回のポイントを思い出して対処しましょう。
膝から腰にかけてのボールをバンバン激しく打ってくる相手と対戦したら、ぜひトップスピンを使って「目線を低めにズラす」戦術で、相手を悩ませてください。











