右サイドプレーヤーの役割②

右サイドプレーヤーの役割②
右サイドプレーヤーはどんなことを考えているのか?
左サイドプレーヤーとどのように連係するのか?
コリン・ジョンズ選手の教えに耳を傾ける回の後編です。

左サイドとの連係パターン実現
前回同様、「The Pickleball Clinic」動画を参考にさせていただきます。
▶「The Pickleball Clinic」YouTubeより
動画の中でコリン選手は、右サイドと左サイドがどのように息を合わせて攻撃するか、具体例を1つ1つ実演しながら説明してくれています。
トッププロが解説してくれるなんて、本当に貴重ですね。
①右サイドからスピードアップ
4人がキッチンラインに居並ぶ状態です。
まずは右サイドに立つコリン選手が、
自身の正面に立つプレーヤーのボディーに向かって、スピードアップします。
「トライアングル効果」の項でもお伝えした通り、ストレートにスピードアップすれば、かなりの高確率でストレート方向に返ってくるのでしたね。

コリン選手は、自分の左肩の上の当たりにボールが返ってくるように仕向けるそうです。

そして、その相手から返ってきたボールは自分が決めるのではなく、
左サイドプレーヤーのフォアでフィニッシュしてもらうことを目的としています。
私が攻撃を始めた後、次に打つショットは、私の高い位置からのバックハンドではなく、伸びとパワーのある左サイドプレーヤーのフォアで、ラリーを終わらせる方がはるかに簡単です。
前回の言葉の中で、コリン選手は自らを「セッター役」と表現していました。「アタッカー」である、左サイドプレーヤーに、決めてもらうのが役目です。
正面の選手を使いはしますが、まるでバレーボールのように、パートナーに「トス」を上げる仕事を担っていると考えると、非常に分かりやすいですね。
もしパートナーの背後にボールが行くようなスピードアップを私がしてしまったら、それは私の責任になります。
正面の相手にうまく反応され、逆クロスに打たれたら、右サイドプレーヤーが仕事を果たせなかったことになります。
まずは右サイドプレーヤーが、狙い通り、自分の左肩周辺にボールを返ってこさせるような、スピードアップを実行することが、この「セットプレー」のカギになります。
②左サイドプレーヤーが察知する
ディンクの最中にパートナーに「スピードアップするぞ」と伝えることはできません。
どのように呼吸を合わせるのでしょう?
コリン選手は、かつてのパートナー弟ベン選手との連係方法について、非常に重要なヒントをくれます。
私のパドルヘッドが落ちて地面側を差している、体が前かがみに伸びている(ボレーを打つ体勢)状態に見えた場合など、私が攻撃しようとしている兆候が多ければ多いほど、ベンは、私の左肩のそばに寄せるように位置取りしていたのです。
長年ペアを組んだ経験で、ベン選手は、コリン選手が正面に攻撃するポイント、タイミングを、熟知しており、
兄が「スピードアップする」と感じた瞬間、センターラインを超えていたというのです。
相手の動きやボールを見ながら、横に立つパートーナーのパドルの動きまで見る、広い観察眼には、驚かされるばかりです。

③右サイドプレーヤーがサイドラインに寄る
右サイドに立つコリン選手は、スピードアップ後、すぐさまバックで構えます。
かつ、そのままの位置から右サイドライン寄りにシフトします。
ベン選手が必ず自分に寄ってくる、必ずセンターボールを取る、と信頼しなければできないポジショニングです。
左サイドプレーヤーを邪魔しないようスペースを空けながら、コリン選手はバックで構えます。
バックの方がフォアに比べれば半分になるほどリーチが短いですから、次のショットは、左サイドプレーヤーのフォアに任せて、自分は万が一のダウンザラインに備えます。
仮に相手ボールが自分側に返ってきても、コリン選手はフォアで打つ気はありません。
バックに構えたパドルをフォア側までグルっと円を描くように回し、
取れる範囲だけをカバーします。
それよりもさらにフォア側に来たボールは「サイドラインが守ってくれる」
すなわちアウトになる、とコリン選手は語るのです。
プロレベルであれば、バック側だけを想定しておけば良い状況であれば、どんなボールが来ても対処できるということなのでしょう。
④左サイドプレーヤーが決める
この状態になると、相手ペアのパートナーはボールにまったく関与できません。
完全に2対1で、相手左サイドに立つプレーヤーを、囲い込み、追い込んだことになります。
そして最後は、
左サイドプレーヤーが、計画通り肩口付近に返ってきたボールを、フォアで決めきるだけです。
「どの程度、パートナーに、センターラインを割り込んで、自分サイドまで侵入してもらうべきか」という問いに、コリン選手はこう答えます。
「センターラインを頭から消し去ることです。いつかこのセンターラインがないピックルボールコートを作りたいと思っています」と笑います。
ベン選手のように、左サイドプレーヤーの身体能力が高ければ、どうぞどこまでも寄ってきて下さい、というスタンスなのでしょう。
左サイドプレーヤーへも金言
左サイドプレーヤーの動きについても、コリン選手は貴重なアドバイスをくれます。
体を右パートナーに寄せる際、最短の真横にスライドしてくるのではなく、
大きく一歩、やや斜め後方に踏み出すパターンも試してみたらよい、と勧めるのです。
やや斜め後ろに大きく一歩踏み出せば広い範囲をカバーできます。打点は低くなるかもしれませんがが、ややスタートが遅れた時は、このメリットの方がデメリットを上回ります。
斜めに入ることで、クロス方向から飛んでくるボールの真後ろにパドルを入れられます。
インパクトする高さこそ低くなりますが、時間を確保しつつ、接触ポイントを多くできる利点があります。
届かない、間に合わないから、右サイドに任せる、ではなく、そこまでしても、左サイドのフォアフィニッシュにこだわっていること、その方が成功率が高いと考えていることが、非常によく分かりますね。
まさに2人で1つ
「モーセの十戒」が海を割ったように、道が開けたと思ったら、そこに左サイドプレーヤーが突如として現れ、素晴らしいフィニッシュを決める。
それを陰で演出したのは、すべて右サイドプレーヤー。
こう考えると、右サイドプレーヤーが心の中で、ガッツポーズしたくなるような気持ちも理解できます。
以前「必勝Vパターン」としてお伝えした、スピードアップ戦術を、息ぴったりの2人で行うことで、「決定力」を、さらに100%へと近づけているのでしょう。

まさに「2人で1つの攻撃」。
我々も「コリン先生」の教えを守り、「最高のコンビネーション!」と声を上げ、パドルタップに、ついつい力が入ってしまう瞬間を、少しでも多くしたいものです(笑)。












