パートナーが狙われた時の戦術

パートナーが狙われた時の戦術

私の好きなピックルボールの言葉に「4人のうち必ず1人は一番弱い選手」という言葉があります。
ピックルボールでダブルスをする場合、コートに入った4人が、まったく同じ歴、同じスキルということはありません。
誰かが必ず「最弱」になるのです。
だからそのプレーヤーの気持ちをキチンと思いやってあげようという意味です。
結構、やれていると思うプレーヤーだって、ある時、超上級者の中に放り込まれれば、一番力量が低いプレーヤーとなり、狙われることもあるのです。
どうやって勝機を見出す?
今回のあなたは、不運なことに狙われることになってしまった
パートナーを支え、何とか気持ちを引き上げる役目を担ったとしましょう。
入りそうもないリスクの高いショットをバンバン打って、勝負を投げ出すのは簡単ですが、コートにいる誰も気持ちの良いものにはなりません。
できることなら2人で協力して、
何とか試合に勝つための活路を見出す方法を考えたいと思います。
自分は左サイドに立つ
最初のポジションですが、パートナーに特に希望がないようなら、
あなたは左サイドに立ち、相手に右サイドに立ってもらいましょう。
左サイドがセンターラインをはみ出てフォアを打つことは戦略上、自然なことです。
プロなら60~80%カバーすることだってあります。
細かいことは言わずとも
「なるべく弱いバックにならないよう、フォア側が積極的に取る作戦をとりましょう」
と伝えればいいでしょう。
まずは2人でキッチンに立つ
ポイントを1ポイントでも多くあげることは大事です。
ですが、そこにも至らないことがままあります。
それでもピックルボールは我慢強いショットを打ちさえすれば、意外にラリーを続けることができるスポーツです。
「1本でも多く返しましょう」と優しく語りかけ
「まずはキッチンまで進みましょう!」と最優先すべき目標を明確にしてあげましょう。
ポイントはあげられなくても、キッチンラインに2人揃って立てれば成功とし、まずは、それを目指すのです。

サーブ権の砦 第2サーバー
あなたが最初に左サイドに立った場合、サーブをする際は、第2サーバーになります。
自分のサーブ時にしか得点が入らないピックルボールですから、あなたは工夫して簡単に相手にサーブ権を渡してしまわないように心掛けましょう。いわばサーブ権を守る「最後の砦」です。
サーブを工夫して、3球目のサードショットを、あなたが打つことができれば、目標のキッチンに2人でたどり着くことができます。
左サイド サーブの工夫
右サイドのパートナーが第1サーバーでミスしました。
続いて左サイドからあなたがサーブを打つ場合を考えてみましょう。
第1セオリーとしてはレシーバーのバックを狙うべきでしょう。
ですが、相手が頻繁にストレートに返球して、パートナーばかりがサードショットをミスさせられる展開になれば、違う方法も選択肢に入れましょう。
相手レシーバーのフォアになりますが、時にはセンター寄りに強いサーブを入れましょう。
バックに打つと見せかけて同じフォームでディープなセンターサーブを打てば、そう簡単にはストレートに打てないはずです。
さらにバックの浅いアングルにスクリューボールサーブを送って左右に揺さぶりましょう。
このバリーエションをうまく使えば、かなりの確率でストレートばかり狙われないようにすることができるでしょう。

右サイド サーブの工夫
ポイントを奪えて、右サイドからサーブを打つ場合はどうしましょうか。
パートナーの力量を考えるとスタッキングは、さすがに現実的ではないでしょう。

センターのボールはパートナーのフォアですが、自分のバックになります。
理想はしっかりサーブで押し込んで、自分がフォアで打てる位置にリターンをさせることです。
ショートアングルへのトップスピンサーブは、ネットも高く相手はストレートに返球しづらいです。
相手の動きを観察して、出遅れている、ショートアングルには来ないと推察したら、素早くセンター返球を読んで回り込む準備をしましょう。
リターナーのバックを狙った強いサーブを主体にしつつ、
相手レシーバーの左足めがけて深いサーブを打つのも効果的です。
フォアで回り込むか、バックで打つか判断を迷わすエリアです。
少しでも相手の読みを外し、反応を遅らせることができれば、センター返球となり、あなたが3球目を打てる可能性が高まります。
サードショットですべきこと
次はサーブを打った後の3球目、大事なサードショットで考えるべき点です。
「何とか自分の力でポイントを」と意気込む気持ちはよく分かりますが、
何でもかんでもドライブで打ち込もうとするのは得策とは言えません。
パートナーがキッチンに到達するまでの時間が短くなるだけでなく、ハイテンポについていけず、余計にミスを呼んでしまうかもしれません。
コート中央付近、きっちりと相手足元に落ちる質の高いドロップを主体に考えましょう。
ドライブとドロップの間、「ドリップショット」が打てるなら、積極的に使っていきましょう。

うまく沈めて、一緒にキッチンに進んだパートナーが5球目を決めてくれたら最高です。
仮に相手が4球目をパートナーばかりを狙ったとしても、あなたが質の良いサードショットドロップを打っている限りは、そう簡単には攻撃されないはずです。
パートナーには、とにかく5球目を頑張ってネットを越えてもらうように励ましましょう。
5番目のショットをパートナーが返球するところまで行けたら、まずは御の字。
多くの場合、キッチンにたどり着けているでしょう。
ディンクをコントロールする
キッチン前に進みディンク合戦になった際にも、考えるべき点はあります。
ここでも相手は積極的にあなたのパートナーを狙ってくるでしょう。
互いに孤立しないよう配球を工夫したり、ポジショニングで協力できることがあります。
正面を積極的に使う
あなたがボールを触りました。
通常ならクロス対クロスの打ち合いが主体ですが、
普段より積極的に正面へボールを送る意識を持っておきましょう。
距離の長いクロスの打ち合いの方が安全ですが、甘いポップアップしたボールを送ってしまった場合、狙われるのは、ほぼ確実に距離の短いストレートに立っているパートナーです。
精度の高いディンクを打てる自信があるボールの際はクロス。
自分がバランスを崩しかけたり、ミスを誘発されそうになった場合は、
無理せず自分の正面にいる相手へリセットのボールを送りましょう。
スピードアップ攻撃されたとしても、相手が無理にパートナーを狙おうとすると、距離の長いクロスになるため、多少なりとも反応時間を確保できます。
多くの場合、センターに返球してくるでしょうから、あなたがそれを読んでカットしましょう。
もちろんサイドケアなど、たくさん動いてカバーする必要性もあります。
パートナーには中央狙いを
パートナーがどうしても狙われて最初にミスをし続けている場合は、
もっと気楽に中央付近に返すようにアドバイスしてあげましょう。
これだけでかなりネットミスもサイドアウトミスも減るはずです。
こちらから角度を付けると、かえって相手はパートナーにボールを集めやすくなるものです。
相手ペアのどちらが取るか、迷うセンターに落とせば、スキができる可能性もあります。
さらに相手からも角度を付けにくくなるので、
あなたがボールに触れる機会もおのずと増えていくはずです。
ポジショニングで圧をかける
相手からのパートナーへの集中攻撃が顕著で、
どうみてもこちらにボールを送ってくれないと感じたら、
ポジショニングで相手のミスを引き出しましょう。
相手がショットを打とうとする際、大きく自分側のサイドを空けてしまいましょう。
さらにはパドルをセンター側のボールを取る向きにします。
自分が左サイドならフォア、右サイドならバックのフェイスを見せる訳です。
こんな風にセンターラインを超えてくるプレーヤーの姿が見えたら、どうしても逆を突きたくなるのが、相手側の心理でしょう。
裏を読んで、一旦空けておいたストレート側にしっかり反応しましょう。
1本でもこの動きが成功すれば、今度は自分のパートナー寄り、センターラインを大きく超えたボールを触りに行くのもイッキに楽になるはずです。
何より、相手ペアは、あなたのパートナーだけを狙えばよかった状況より、はるかに多くのことを考えざるを得なくなり、ミスが増えていくはずです。
頭上と前はカバー
ゲーム序盤、まずはセンター寄りを深くカバーして、
右サイドに立つパートナーのバックの心配を取り除いてあげましょう。
それでも相手はあなたのパートナーをしつこく狙ってきたとします。
浅いボールやディンク合戦でのロブなども交えられ始めました。
浅いボールは、自分が反応できる場合は「はい!」と声を出して積極的に取りに行きましょう。
パートナーが1歩以上下がらなければ処理できない頭上のボールは、
自分がカバーすることを伝えましょう。
ボールを一旦落とした場合、まっすぐ下がるプレーヤーより、回り込んだプレーヤーの方が返球しやすいので、あくまでこれは戦術です。
「追っかけるのは当然の仕事」と、パートナーが余計な気を使わないように声掛けしましょう。
そして、パートナーには、なるべく手の届く範囲に集中してもらうようにしましょう。
リターンはアグレッシブに
リターンでは深くの基本を守りながら、アグレッシブに打っていきましょう。
相手のサードショットドライブで
パートナーのボディーを狙われるような甘いボールは避けたいところです。

パートナーがリターンで、自分が先にキッチンにたどり着けた際は
積極的にポーチしていきましょう。
パートナーに優しく
結局のところ、自分1人がいくら頑張っても、勝利にたどり着けません。
本来の力量に差はあれど、2人でいいプレーをする必要があります。
まだ初心者のプレーヤーは、必要以上に自分が下手だと思い詰めていることがあります。
そこに1度簡単なチャンスを逃したり、続けてミスしたりすると、
途端に自分に必要以上のプレッシャーを与えてしまうものです。
こうして普段以上のミスが積み重なっていくのです。
あなたにもきっと経験があるでしょう?
いいプレーにはキッチリ「ナイス!」の優しい言葉を添えて、
少しでもパートナーの心の余計なおもりを取り除いてあげるのが
一番の勝利の近道だと思います。
仮に勝てなくても、ある程度のリスクを犯してリターンしたり、攻めた場合、自分が果たしてどの程度、狙い通りに質の高いボールを打てているのか?
自分の真の力量を測る、非常にいい機会になっていると思いませんか?
たとえ初めて顔を合わせた4人であっても、4人全員にとって、貴重ないい時間となるように心掛けてプレーしたいものです。