はやりのドリップショットって

はやりのドリップショットって

最新トレンドショット
以前、お話した通り、ピックルボールでは「サイドアウト制」を採用しておりサーブ権があるときのみスコアが加算されます。また2バウンドルールによりサーブ&ボレーが禁止されているためリターン側が有利。よってサーバー側が3球目に打つ「サードショット」が非常に重要と考えられていることもお伝えしました。

大阪からピックルボール情報を発信中の私「ピックル坊や」は、テニス経験者です。ほぼフルパワーで打つドライブ以外に、安全に返して前に出る「サードショット」ドロップという選択肢もあるということを、最初に学びました。
ですが、その考え方すべて正しいというわけではありません。まだまだ歴史の浅いピックルボール。アメリカでは「ドライブ」(drive shot)と「ドロップ」(drop shot)以外にもう一つ。「ドリップショット」(drip shot)という新しい戦法が、最新トレンドらしいのです。
またの名を「ハイブリッド」サードショット。「ドリップ」とつけたネーミングセンスと、最新トレンドという言葉に、思わず、やってみたくなってしまいますね!
ドライブとドロップの間
もうそのネーミングだけで、勘の良い皆さんはお気づきのことと思いますが、文字通りドライブ(drive)とドロップ(drop)の中間のようなショットです。
パドルの進化で、以前よりボールのスピードも格段に上がり、スピンもかけやすくなっています。
あなたがサーバーの場合、相手が強烈なリターンや、素晴らしく深いプレースメントの返球をしてきたと想像してみてください。ドライブでフルスイングするのが得策でしょうか?
即座に強打せず、しばらく比較的安全なドライブを打ち込んでいく考えもあるでしょう。ですが、先に相手にネットを取られている状況で5本目、7本目と複数回打っていくことになれば、多少なりとも、こちらが先にミスする確率もあがってしまいます。
また、より安全にと、3本目をドロップでキッチン(ノンボレーゾーン)内側をめがけて落としたら、どうでしょう?
最初にミスするリスクは少ないですが、それでも先に相手に主導権を渡すことになります。少し甘い浮いたショットになったと仮定しましょう。ミックスダブルスや片方のスキルが劣るダブルスの場合、前方に構えるパートナーが簡単にボレーで狙われてしまうかもしれません。
そこで考えられたのが、ドロップより攻撃的で、かつドライブよりもリスクの少ない、この「ドリップ」です。
コンパクトなスイングでスピンをかけ、相手の足元に鋭く落とします。これをサーブからの3本目のショットとして使うというのが、進化し続けるピックルボールの、新たな戦術なのだそうです。
リラックス&コンパクト
▶「Selkirk TV」動画より 相手の足元を突く利点、ショットの打ち方を説明する動画
パドルを先端を落とし、まっすぐ振り上げます。リストは極力使わず、肩を支点に振り子のように動かす。可動域が少ない方がミスが減ると説明しています。
▶「Pickleball Playbook」動画より 「ドロップは死んだ(もう古い)」とインパクトの強い文言がサムネについた動画
こちらの動画は、もう少し高度な技術でしょうか。ドライブを打つように見せかけて上方にワイパースイングで振り上げる、と解説しています。
基本オープンスタンスでユニットターンして、ジョットコースターのように緩やかなテークバックから運動連鎖でスピードを徐々に上げていき、ボールを擦ると語っています。
先ほどの動画と同様、大きすぎる動きを避けるため、リラックスして構え、できるだけコンパクトにスイングするようアドバイスしてくれています。
6~7割の出力で打つ
要約するとテークバックをコンパクトにしてボールの下にパドルを入れ、小さくブラシアップするようにインパクトを迎えます。
ドライブが9~10割の出力を出しているとしたら、60~70%が基本となるそうです。
また、相手の反応や、スコア状況を考慮して、50%や70%と、力の入れ具合を変えていく考え方もあるようです。
効果的な使いどころ
どういった場面で使うべきなのか、考察していましょう。
相手のキッチンへの前進が遅い場合
フットワークがよくなく、通常よりもスローな動きで、キッチン(ノンボレーゾーン)前につこうとするリターナーに対して有効です。
ドロップでは、余裕を持って対処されてしまいますが、スピードのあるドリップショットだと、多少甘くなっても相手の足元に落とすことができます。
相手は4球目、ネットを越えるため上方に打つ必要があり、あなたにとって、甘いボールが送られてくる可能性が高くなります。
5球目で決めたい場合
ミックスダブルスで男性プレーヤーが使う場合も有効です。
ドライブを打ってキッチン前に前進するのが難しい場合でも、コンパクトなドリップなら、あまりバランスを崩さずアプローチすることが可能です。相手のボールを浮かさせたら、中央付近にまで飛び出し、フォアのボレーでイッキにポイントを奪いにいきます。
女性プレーヤーがリターンで使う場合は、前にいる男性プレーヤーに決めてもらうこともできます。
5本というショートポイント、いわば「速攻」で勝負の流れを変えることもできるでしょう。
ドライブと見せかけて相手の虚を衝きたい場合
ドライブとドロップのコンビネーションだけでは、バリエーションに限りがあります。
ドリップは、インパクトの直前までドライブかどうか、相手は簡単には予測できません。ドライブと思ってキッチン前少し後ろ目に身構えていたら、ドリップで足元に落とされるなんてことになれば、相手は必要以上に考え込んでしまうことになるでしょう。
3種類のショットを使い分けることで、攻撃の幅が広がるというわけです。
まさにハイブリッドいいとこどり
どうでしょう? なぜアメリカで、大事なサードショットにドリップを取り入れられ始めているか、分かってもらえたのではないでしょうか?
強引なドライブでミスを重ねるよりは、よっぽど有効そうなショットに思えますね。
あなたもぜひ、この最新の「いいとこどりショット」を使いこなしてみてください!