アーニーの狙い方②

アーニーの狙い方②

前回に続いてアーニーの狙い方②です。ボールへの近づき方、違反とならないようにする方法は分かりました。

肝心なのは、どのタイミングで繰り出すかという点ですね。
どんな時に狙う?
トッププロのジェームズ・イグナトヴィッチ選手(James Ignatowich=米国=25歳)が教えてくれる動画です。
繰り出すタイミングの1つ目としてあげているのは「反応型」。
相手からのボールを見て「これは狙える」となったら動くパターンです。このタイミングなら空中で間に合う、この距離ならキッチンを飛び越えられる、ということを考えるだけです。身体能力が高い選手ならば可能となる、思わず体が動いたバージョンのショットです
2つ目が「予測型」。
我々、一般プレーヤーとしては現実味のあるバージョンですね。
コートのサイド寄りにいる相手のパドルが開いてスライス面になっている。1歩下がって、後ろ体重になっている。この2点を見つけたら狙うとしています。
相手はこちらの動きをしっかり見る余裕がなく、かつスピードアップすることもほぼ不可能です。次のポジショニングを考えると、クロスに返球するのは動く距離が長くなってリスクですし、オープンフェイスでクロスに打つのも難しいです。
よって、ほとんどの確率でダウンザライン方向からセンター寄りにボールは来るという「読み」ですね。
▶「James Ignatowich Pickleball」動画より
①相手の頭が下がる+後ろ足体重の時
繰り返しになりますが、次の動画でも、ほぼ同じタイミング、相手からの「合図」をあげています。
クロス対クロスの対角線上のディンク、もしくはストレートでのディンクを思い浮かべてください。相手のフォア側のキッチンライン角の深い位置に、質の良いボールを送ると、
相手は頭が下向きになり、後ろ足に体重で打つことを強いられます。
この状況に陥ると相手のバランスは崩れ、周辺視野は狭くなります。クロス側に打つのは難しいでしょう。
安全なセンター寄りかダウンザラインに打ってくると予想できます。
よってアーニーを狙うチャンスです。
▶「ThatPickleballGuy」動画より
②相手がセンターラインを越えた時
相手が右利き同士のペアの場合、右側にいるパートナーがバックハンドを打たなくて済むように、左側がフォアでカバーに入ることがよくあります。
左側のプレーヤーが余裕のない厳しい体勢でセンターラインを越えて打った場合、ストレートや逆クロス側の、キッチンの浅い位置を狙ってディンクするケースが多いです。
安易にクロスに展開すれば、自分が次の相手からのダウンザラインを警戒するために、大きく戻る必要があるからです。
対角線気味に、自分に向かって飛んでくるボールに対して、空中でアーニーを繰り出します。
③相手ベースラインからのドロップ
あなたのパートナーが右側でリターン、あなたはキッチン前にいる状況です。
リターンがセンター付近の深い位置に返ると、あなたのバックにドロップしてくるケースがあります。あなたがバックで何度かミスを続けていたら当然、相手は狙ってくるでしょう。
先ほど紹介した②のケースのように、センターラインを越えて、向かい右側の相手がフォアでリターンした場合、より逆クロス側にドロップする確率は高くなります。ストレートより距離の長いクロスに打つのがセオリーですから。パートナーと譲り合うような、無理な体勢になり、前でインパクトすることが難しい状況になったら、なおさらです。
自分のバックに来ると感じたら迷わずサイドライン側に飛び込みましょう。
どのケースも相手に読まれては成功しません。
相手が目線を切った際や、インパクトする直前のタイミングで動き始めることを心掛けましょう。
バックで打つ方法
ここまで左サイド側(テニスのアドバンテージサイド)の例だけをあげてきました。右サイド側ではヒットするのが基本バックになるため、難しいからです。リーチもフォアに比べてかなり短くなります。
ですが、プロは右サイドでもアーニーを繰り出します。
次の動画でイメージトレーニングして見てください。
▶「Briones Pickleball」動画より
この練習を積んで打てるようになるか、右サイドに左利きプレーヤーがいれば、相手側に大きなプレッシャーをかけることができますね。
バートとは?
もうここまで来ると、かなり難しいと思わざるを得ないですが、さらに「アーニー」を発展させた「バート」という技があることもお伝えしておきます。
次の動画、画面左側の男性プレーヤーの動きに注目してご覧ください。
▶「The Dink Pickleball」動画より
「バート」とは
自分のコートサイド側ではなく、パートナーの前を横切るように大ジャンプして、パートナーがいたコートサイド側から「アーニー」を繰り出すというものです。
正確なタイミング、スキル、そしてパートナー間の連携が求められます。返ってきたら戻るのは困難でしょうから、一撃必殺で決める自信がないと、できない、まさに「サプライズショット」ですね。
次の動画で繰り出される「バート」も凄まじいジャンプです。
▶「Golden Boy Pickleball」動画より
バックでバート!?
絶対女王、アンナ・リー・ウォーターズの練習動画です。「アナが『バート』を打ちます」との掛け声の後、ものすごい跳躍で「バート」を決めます。しかもリーチが短い両手バックで!
練習とはいえ、常に本番でこのショットを狙っているのだと思うと、「スゴイな」とただただ感心してしまいます。
▶「annaleighwaters_pb」TikTokより
なぜ「バート」というのか
「アーニー」は、このショットを広めたアーン・ペリー(Erne Perry)選手の名に由来します。しかしなぜこの逆サイドに飛ぶ「アーニー」は「バート」と言うのでしょうか? みなさん分かりますか?
実はアメリカ製作の超有名教育番組「セサミストリート」に「アーニー」というキャラクターがいます。オレンジ色の顔、ヨコシマのシャツがトレードマークの天真爛漫キャラです。
その「アーニー」と大親友でいつも同じ物語に、コンビで登場するキャラクターこそ「バート」という名前なのです。
こちらは黄色のバナナのような顔立ち、タテシマのシャツが定番。人気キャラなので、イメージできる方も多いのではないでしょうか。
この2人で1つのストーリー、2人は常にセット、という同番組の「普遍的なルール」から来ているという説が濃厚です。
ちなみに「バート」は短気でありながら、いつも「アーニー」のイタズラを許してくれる優しい男の子という設定です。
あなたのボールを横取りするように、パートナーが「バート」を仕掛けることがあっても、セサミストリートの「バート」のような優しい心で、笑って許してあげてくださいね!
