ピックルのトリックショット③

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トリックショットシリーズの3回目、最終回です。今回は打つのはためらわれますが、その誕生までの背景が、とても興味深かったので、ご紹介だけさせてください。

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それが「ナスティ・ネルソン」(Nasty Nelson)と言われるショットです。

まあド直球で言ってしまえば、ダブルスでキッチン前にいるレシーブ側のパートナーめがけてサーブをぶつける、という、なかなかクレージーなサーブです(笑)。

レシーブしていないプレーヤーはいかなる方法でもサーブを妨害することが許されていません。よってボールが落下する前に体や衣服に当たれば、相手側のフォルトですから、ぶつけたサーバー側のポイントになりますね。

まさにルールの盲点を突いた驚きの「トリックサーブ」です。

先日もPPAツアーで、ジャック・ソック選手が繰り出して話題になっていました。

▶「The Kitchen Pickleball」動画より

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ナスティ・ネルソン

これを最初に狙ってやったという、ティモシー・ネルソン(Timothy Nelson)選手の名前に由来しています。

ナスティ(Nasty)とは汚いの意味。直訳すると「汚いネルソン」。こちらも、なんともまあド直球な、ネーミングですね。

次の動画では、ピックルボールのコートで友人をからかう「最も失礼なショット」として紹介されています。

見事、相手に当たれば「あなた側のポイントになりますが、代わりに非常に軽蔑されることになります」と話しています。

本当、その通りでしょうね。

▶「tanner.pickleball」動画より

ユニークなYouTuberでも知られる、プロのゼイン・ナブラティル選手の動画です。

MLPの公式戦で「ナスティ・ネルソン」を成功させた選手でもあります。

相手との距離の短い正面に立て、相手の肩を狙え、ネットするよりアウトしろ、

といった、ある程度? まともなアドバイスをしています。

▶「Zane Navratil Pickleball」動画より

ところが、途中からは、相手と15秒から20秒視線を合わせない、相手の気をそらすために、自分のパートナーに会話をさせる、さらには間違ったスコアを大声で叫び相手を混乱させる、ミスった場合は速やかに施設から退場する、ニセの「ソーリー!」を大声でかまして謝罪する、超大げさに相手を心配して駆け寄る、などなど。

どこまで本気か分からない「技術的アドバイス」が続きます。

普段のチュートリアル同様に真剣な表情が、逆に笑いを誘います。

ネルソンとはどんな人?

気になって、ティモシー・ネルソン選手とは、どんな選手なのか調べてみました。

すると「アーニー」を普及させたアーン・ペリー(Erne Perry)選手と仲の良い友人で、少なくとも500回以上プレー経験があるそうです。

自分の名前が冠に付いたショットをともに持つ2人が、密接な関係にあったなんて、なんとも奇遇とは思いませんか?

ネルソン選手は17歳からピックルボールにのめり込みました。天才的なプレーを見せて大学進学後も授業をサボってピックルボールをプレーしていましたが、試験だけは一夜漬けで軽くクリアするなど、頭脳も明晰だったそうです。

ナスティ誕生の瞬間

そんな若かりし日に、試合中に汚い言葉を浴びせたり、ひっきりなしの挑発してあおってくるプレーヤーと遭遇したそうです。

我慢の限界を迎えた彼は、汚い言葉でたたみかけていた相手がリターン側の前に立った時、狙い撃ちしました。

放たれたロケットサーブは、相手のお腹を直撃したそうです。

相手は怒ってプレーを止めてしまいましたが、しばらくすると戻ってきて「もう1回打ってみろ」と何度も言ってきたそうです。

これが「ナスティ・ネルソン」誕生の瞬間だそうです。

なんとなく、その光景が想像できますね。

またの名を操り人形師

ネルソン選手が型破りなプレーで知られたのは間違いないようですが、実際のところ、このサーブよりも大きな物議を醸したのはパペットマスター(PUPPET MASTER)(操り人形師)と呼ばれるジェスチャーでした。

ウィニングショットを決めた後、頭の上に両手を置いて上に伸ばす仕草を見せました。「俺はお前を操っているんだぞ」という意味合いと見られるポーズに、世間からは「スポーツマンシップに欠ける」と非難を受けたのです。

「PUPPET MASTER」というTシャツを着てプレーするなど、我関せずのスタイルを貫いた時期もあったネルソン選手でしたが、その後は封印しました。

次の動画では、一瞬ですがヒゲを生やしたサングラス姿に真珠とおぼしきネックレスをしたネルソン選手が見られます。いかにもヤンチャそうですね。

▶「The Dink Pickleball」動画より

トリックショット①で紹介した「イェーツ」生みの親、カイル・イェーツ(Kyle Yates=30歳=アメリカ)は、ネルソン選手の印象を「スピードの緩急を付けるのが非常にうまかった」と証言しています。

素晴らしい反射神経で、今まで誰も打ったことのない、相手を驚かせるショットを打つ、オールラウンドプレイヤーだったようです。

悪目立ちするあまり、そのうまさの部分は、あまり触れられてこなかったようです。

とがった「伝説の男」の今

ネルソン選手、いやネルソン氏は現在35歳。

心不全を患い3度の大手術を経験。

集中治療室にいる際、両隣の患者さんがなくなり、神の存在を信仰するようになり、穏やかな性格に変わったと言います。

高校で問題行動を起こす10代の若者の更生に携わり、ピックルボールコートに連れ出したりしました。

アリゾナ大学のロースクールを卒業し、最近は弁護士として働き始めているそうです。

現在、ピックルボールのプレーは週1回未満。身体的な問題ではなく、忙しさゆえ、自らの選択だと言います。

アメリカには、Nasty Nelsonから名付けたと思われる「Nasty Nelson」というブランドや、文字ったと思われる「Nasty Nelsen」というブランドが存在します。

いずれも遊び心あふれるデザインです。

表舞台から消えた謎めいたレジェンドは、少し尖った男の象徴として、きっと今もアメリカ人のハートをくすぐっているのでしょう。

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ピックル坊や
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勝手に広めるンルン
大阪府生まれ。大学までテニス部。大阪から情報発信。ピックルに目覚め、ルンルン楽しく上手くなれるのか検証中
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