ピックルの基礎知識

基本練習法6選

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ピックルボールの練習でドリルを取り入れていますか? 今回ご紹介するのは、非常にベーシックなものですが、初心者の方に、その目的や、意識していただく点を、できるだけ分かりやすく解説させていただきます。

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①サーブとリターン練習

サーブとリターン練習の意識
サーバー側ターゲットをキッチリ決めて狙う
リターン側深く真ん中サイドを打ち分ける キッチンに早く着く

サーブとリターンを打たないとピックルボールは始まりません。両者にとってオープニングの一打です。まずは基本中の基本、サーブとリターンの練習です。

サーバーは時間を決めて、左サイド、右サイドの両方で打ちます。

第1は深いところ。基本は相手のバック、コートのセンター付近を狙います。

ただし、相手が左利きの場合もありますし、変化を付けるためにも、フォア側のコーナー深いところも、練習しておきましょう。

短く角度を付けたサーブも練習しましょう。特に左サイドから打つ場合、スライス系のサイドスピンをかけて相手のバックの短いところを狙うのも効果的です。

ロブサーブも相手によっては嫌なものになります。

スコア状況をイメージして変化をつけてください。

多少リスクがあっても攻める場合、安全策を取る場合、ここぞの場面で相手の意表を突く場合、それぞれ使うサーブを何種類か試しましょう。

リターナーの反応を見て、どのサーブが効果的なのかをインプットしておくのも大事です。

リターンはとにかく深いところに返すという目標が大事です。

ダブルスの場合を想定して、それぞれ相手のバックで取らせる深いところを狙いましょう。

両方が右利きの場合、センターに返球されたリターンは、フォアとなる左側のプレーヤーが取るのがセオリーです。

その裏をかいてド真ん中よりやや右寄り、左側のプレーヤーがセンターラインを越えてフォアを打つか、右側のプレーヤーのバックに任せるか、迷わせるゾーンに打つ練習もしましょう。

多少ズレてもセンター、深いところは安全ですし、自らが前に進む時間を稼ぐ意味もあります。

リターンを打ったらキッチンラインに進むようにしましょう。

相手のサーブのスピード、球威がある場合、後方深い位置からでも前へ進めるように、高いスピン軌道やスライスで滞空時間を稼いだり、前進しながらヒットする意識も大事になります。

1本返したら終わりではなく、こちらも実戦を想定しましょう。

通常、クロスコートそれぞれに4人が入り交互にサーブとリターンを行います。

サーブからリターンまでで終了のパターンもあれば、サードショットまで、4番目のショットまで、と決めて、そこまではプレーを続けるパターンもあります。

次の動画ではリターンをせず、ただサーブだけを打つ練習を紹介しています。リターンの場合も、サーブを打ってもらって、リターンをするだけです。

▶「Selkirk TV」動画より

非常に単純ではありますが、そこまで集中して行うほどサーブリターン練習は重要だという意味なのでしょう。ボールや参加メンバーなど、時間が許せば時に行うのも良いのではないでしょうか。

②サードショットドロップ練習

サードショットドロップの練習
ベースライン側きちんとドロップして最終的にはキッチンへ進む
キッチン側相手を後方に留めさせるよう深くボレー

ピックルボールでサーバーは「ツーバウンドルール」により、サーブ&ボレーをすることができません。そのため、サーバーがサーブを打った後に返ってきたボールを打つ3番目のショット、「サードショット」は非常に大事とされています。その部分に焦点を当てた練習です。

ボレーヤーとベースライン側に分かれて行う、テニスのボレー&ストロークのような形で行います。

キッチンライン前に立ったプレーヤーは、ベースライン深くを狙ってボレー。相手を簡単に前に出させないボールを送り続けます。

後方から打つプレーヤーは、相手の足元付近にドロップを落とします。

キッチン内でバウンドさせるか、相手がボレーで、下から上へ打ち上げることになる低い位置を狙ってください。

相手から攻撃されないボールが行けば、そのタイミングで自分もキッチンラインへ前進します。

ドロップのみを続けるパターンもあれば、1本目はドロップ縛りですが、その後はドライブを混ぜてもいい、実戦に近いパターンの練習もあります。その場合は、とにかくキッチンにたどり着くまでミスしないことを意識して、練習しましょう。

人数が許せば、右サイドからクロス、左サイドからのクロスでも行いましょう。フォアバックを打つ割合も変わりますから、左右のストレートとも、4コースで行えれば最良です。

時間で区切るのもいいですが、ピックルボールの練習では「セブンイレブン」というスコアを数えて、ゲーム性を上げることもよくあります。

圧倒的にネット前が有利になるので、キッチン側が11点、ベースライン側が7点と決め、どちらが先に取るかを競うものです。

10回連続でドロップを続けられたら、実際にポイントが決まっていなくても、無条件でベースライン側の得点とする方法もあります。これなら集中力を維持できそうですね。

③ミッドコート練習

ベースラインとキッチンラインの間、トランジションエリアやミッドコートと呼ばれるポジションに立った時の練習です。

ミッドコート練習
ミッドコート側きちんとリセットして いいボールならキッチンへ
キッチン側相手の足元を攻撃しキッチンに来られないようにする

キッチン側に着いたボレーヤーはコート中央にいるプレーヤーの手が届く範囲の足元を攻撃します。ミッドコートとは別名「ノーマンズランド」(無人地帯)と言われる、ピックルボールではあまり留まりたくゾーンのことです。

なるべくその位置に留まらせ、相手をキッチンラインに進めさせないようにしてください。

相手から足元に沈められたら、ロールやフリックで、球足の長い、攻撃的なボレーを打つ練習をしましょう。

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ミッドコート側に立っているプレーヤーは相手からは打ち下ろすようにボレー攻撃され、防戦が多くなります。膝を曲げパドルを落とし何とか「リセット」する練習です。

段階を追って徐々に前に侵入していく姿から「スペースインベーダー」という名称で呼ぶこともあるそうです。

うまく相手に攻撃されないゾーンに落とせたら、キッチンラインに進み、そのままディンク合戦や、ハンドバトルに挑みます。

5本、10本と少しでも返球して逆転のチャンスを作り出してください。

ここでも「セブンイレブン」のスコア形式を取り入れたり、10回連続で返球できれば1点とするのものも良いでしょう。

スコアが決まるか時間で区切って、互いの役割を交代してください。

④ディンク練習

初心者のうちはドライブで相手を粉砕しようと思う方も多いでしょう。ですが、レベルが上ってくるとキッチン前に互いが着いてのディンク勝負になります。上級者の場合、ここでのジリジリとした攻防から、どちらかがスピードアップを仕掛けてポイントが決まります。その練習に特化したものです。

ディンク練習
前半フォア側のクロスでディンク
後半バック側のクロスでディンク

練習の前半はフォア側のクロスコートで、後半はバック側の逆クロスコートで行います。自分がスピードアップ攻撃できるような、甘い浮いたボールを相手から引き出す練習です。

狙った一方向にばかり打つのもありですが、相手のフォア、バックを交互に狙ったり、フォア、フォア、バックや、バック、バック、フォアと、連続したコースを混ぜて打ってみてください。スピンやスライスの球種を混ぜたり、浅い球、深い球、時にボレーするかワンバウンドさせるかギリギリ迷う所に配球してみてください。

どうすれば、ミスショットを引き出せるか、相手の体のバランスが崩れるかを確認しましょう。それをインプットしていくと、自分なりの得意パターン、いわゆる「ディンク戦略」が出来上がってきます。

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「セットアップ」と言われる攻撃に移る前段階のトレーニングです。

単純なアンフォーストエラーを繰り返すと、お互いに練習になりません。

10回以上続けられるように、それが出来たら20回以上と、数を増やしていきましょう。

5点先取で、単純ミスの場合は1点減点するなどのルールで、ゲーム性を高めることも出来ます。

⑤ストレートディンク練習

キッチンで正面に向かい合ったプレーヤー同士のディンクからスタートします。

実戦の場合、基本ディンクは距離の長いクロスで行うことが多いです。

ストレートにすることによって、より短い精度の高いディンクを練習できることが、まず1点。さらに互いの距離が4メートルほどで、反応時間も最小です。反射神経が求められるハンドバトルを鍛えるのが、もう1点。この2点が主な目的です。

ストレートディンク練習
手の届く範囲でスピードアップ
ハンドバトルの精度、反応時間を鍛える

クロスコートでのディンクから、スピードアップする場合は、距離が短く、相手の時間を奪える、センターかストレート方向が基本となります。ですので、

浮いてきたボールは、クロスディンク練習の時よりも、攻撃的に相手のボディーを狙って打ってください。

ワンバウンドさせて打つ浅いディンクを打つだけなく、ボレーで取るか取らないか判断に迷う深い所にやや強いボールを送るのも有効です。

クロスディンク練習の時と同様に、相手からチャンスボールが来るように「セットアップ」して、最終的にはスピードアップしてハンドバトルに勝つところまで持っていきましょう。

ただ勝ち負けを競うものもあれば、どちらかが攻撃、もう片方がディフェンスと役割を分担して行う練習もあります。攻める側はスピードアップやカウンター、守る側はリセットを意識します。

これには「キャット&マウス」(猫とネズミの追いかけっこ)と呼称が付けられています。

スピードアップしたボールは、相手のボディーの中でもカウンターを打ちにくい所を狙ってください。

体の正面に来ることが多いピックルボールではバックを主体に構えるプレーヤーが多いです。

右利きの相手の右肩に、スピードボールを送ると、脇が開いて肘が上になる状態を作ることができます。力の入りづらい弱点、チキンウィングと呼ばれる形にすることができる訳です。

また右腰のあたりを狙うと、フォアで取るかバックで取るか、その切り替えの中間になることから、わずかでも反応を遅らせることができて、有効と言われています。

相手によっては、バックが極端に苦手だったり、足元のボールが弱いプレーヤーもいるでしょう。キッチリと相手コート内に収まるように、狙い所を定めて打っていきましょう。

⑥ボレーボレー練習

極限の反応時間の中で争う、ハンドバトルに特化した練習です。先ほどのストレートディンクと同じ位置に立ちます。互いにキッチンライン前、4メートルほどの距離で、ボレーを打ち合います。

ボレーボレー練習
序盤胸の高さでコントロールボレーの練習
後半上から打ち下ろすと下から打ち上げるのの役割を変えて練習

相手のバックなどに、ターゲットを定め、

序盤は互いにボレーが続くように協力的なショットを打ちましょう。

相手に攻められた時の「ブロック」「リセット」やキッチン手前に落とす「ドロップボレー」などをイメージして行えば、より実戦に近い内容になるでしょう。

1度パドルでワンバウンドさせ、トスを上げるようにコントロールし、2度目で相手に打ち返す練習もあります。コントロール性を高めたり、ソフトタッチのショット、リセットなどの感覚を養えます。

慣れてきたら徐々にスピード、ペースを上げます。

フォア、バックを交互に狙う「8の字」と言われる練習をすることもあります。

キッチンラインの1歩中に入った、より反応時間の少ない状況で打ち合うのも、反応速度を上げることに役立ちます。

下の図をイメージしてください。ボレーボレーで互いの感覚が整ったら、

上から下へ攻撃する側、下から上へディフェンスする側と、それぞれ役割を決めて練習します。

浮いた球を強く叩きつければ、ポイントは決まるでしょうが、ただボールを拾う練習になっては意味がありません。

上から打つ場合は、ネットの高さを計算して、パドルヘッドを動かしすぎないようにしつつ、相手の足元にボールが行くようにコントロールしてください。パドルヘッドを動かしすぎるとネットミスの原因になります。

下から守る場合は、レディーポジションの状態から、パドルの位置を足元へと下げます。ボールを浮かせすぎないよう、しかもネットをうまく越えるようにコントロールしてください。

この一連の動きは「シーソー」と呼ばれることもあります。

空中での攻守を想定した練習になります。

以下、ドリル全体の動きを分かりやすくまとめてくれている動画です。

▶「High Five Pickleball」動画より

ベン・ジョンズはどうしてる?

どれも「知ってるよ」と言われるような練習ばかりだったと思いますが、

大事にしたいのは、その目的や意識することを知ることです。

トッププロはどうしているのでしょうか? 

レジェンド、ベン・ジョンズ(Ben Johns)が自らのドリルのルーティンを解説してくれている動画がありました。

▶「Ben Johns」動画より

まず最初にストレートのディンクラリー。

攻撃も自由で互いの運動量が上がるように振り合い、激しめに打ち合っています。

次にミッドコートでハーフボレー、リセットなどの練習。

まず左サイド、次にクロス、動画ではカットされていますが、おそらく逆クロス、右サイドを加えた4方向すべてで行っていると思われます。

次はサードショットドロップ練習。

ドライブ、シングルバック、両手バックなど、あらゆるショットを混ぜています。これも左サイドからクロス、逆クロス、右サイドの4方向。ダブルスだけでなく、シングルスを想定したフォア、バック両方に振られて打つ練習も、追加するそうです。

ここまで終われば、次はミッドコート練習、サードドロップ練習の攻守を交代します。

そして最後はボレーボレー練習で終わっています。

短い距離から練習して徐々に長い距離、激しい動きにしていき、ラストは反応勝負のハンドバトルを確認して終わるという流れのようです。

思いの外、ノーマルなドリルしかしていないのですね。

ドリルはつまらないもの

プロの中でも7~8割ドリル、2~3割実戦練習のタイプもいれば、若き女王、アンナ・リー・ウォーターズ(Anna Leigh Waters)のように、ドリルは6割ほどに留めるプレーヤーもいるようです。

理由は「あらかじめ予測できるドリルと実戦では、動きに違う点が多々あるから」。とは言いつつ「ゲームの方が面白いから」と感じているのも間違いないようです(笑)。

日々、必死に練習を考えている方の中には「こんなドリルつまらない」と言われることもあると思います。

ドリルは確かに単純です。ですが、ピックルボールに必要な、サーブ、リターン、ドライブ、サードショット、ディンク、スピードアップ、ボレーを、それぞれの必要スキルを分類して集中的に練習しやすくしたものです。そこで意識したこと、つかんだコツを、実戦で試すようにすれば、必ず上達します。

「ベン・ジョンズも単純なことを、こんな楽しそうにやってるよ」

ドリルに不満を持つ方がいたら、そう言って先の動画を見せてあげてください。

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大阪府生まれ。大学までテニス部。大阪から情報発信。ピックルに目覚め、ルンルン楽しく上手くなれるのか検証中
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