アジアのピックルボール事情②

アジアのピックルボール事情②

前回は日本近隣の韓国、中国、台湾の情報をお届けました。

以前には最も熱いアジアの国としてマレーシアの現状をお伝えしました。

他の東南アジアやインドのピックルボールはどう発展しているのでしょうか?
インド:急速に拡大中
6万人以上がプレー
AIPA(All India Pickleball Association=全インドピックルボール協会)によると、インドの正式に活動中の選手数は1万人以上。
2025年8月時点で50万人以上のアクティブなプレーヤーがいるとしています。
一方、UPAアジアとYouGovシンガポールによる2025年6月の最新調査によると、アジア全域で 8億1200万人が、少なくとも1度はピックルボールをプレーしたことがあり、2億8200万人が月に少なくとも1度はプレーしているという、数字を、前回もご紹介しました。
この月に1度プレーするプレーヤーのいる1位国がインドで、1億7800万人以上とされています。
人口15億人の大国とはいえ、さすがに全人口の12%がプレーしているとは、信じがたいですよね。
一方、「INDIA TODAY」や「SAKSHI POST」などのメディア情報では、6~7万人のプレーヤーがいると報じています。
やったことがある程度の人を加えると10万人を超えるそうです。
この数字は複数メディアで一致しており、6万人以上がプレーしていると推測して良さそうです。
しかも3年で275%増との信憑性のあるデータもあり、まだまだ増えていきそうな勢いです。
コート数は1年強で6倍増
競技人口自体はハッキリしないところが多いですが、爆発的にコートが増えていることは確かなようです。
すでにピックルボールコート数は1200以上とのデータがあります。
他国同様、コロナのパンデミックでブームに火がつきました。
企業が積極的にコート設立に動いた理由は、ズバリその立ち上げの簡単さにあります。
1ピックルボールコートあたりの設置費用はわずか30万~50万ルピーで、バドミントンコートに必要な150万ルピーの30%にも満たないそうです。
都心ではわずか3カ月で費用を回収できるそうです。
2024年初頭、インドには稼働中のピックルボールコートが約200面。
それが2025年3月には1200面超え。
ムンバイ、ベンガルール、デリー、ハイデラバード、アーメダバード、スーラトといった主要都市では毎週3~4面が新たにオープンしているそうです。
この顕著な伸びを知ると、2028年までにインドのアクティブプレイヤー数は100万人に達し、少なくとも2500面のコート需要が高まると予想される、というのも、うなづけますね。
さらにプレーヤーの急増に備え大手不動産グループが「Pickle Pros 構想」という都市型プロジェクトを推し進めるといった動きもあるそうです。
もうすでに立派なコートが整備されています。
次の動画は「Dwarka Sector-8」というデリー開発局(DDA)が建設したスポーツセンター。インドで大人気のクリケット施設に隣接する形でピックルボール用に4面が用意されています。
▶「gurugram.official」インスタグラムより
ラクナウ初のピックルボール専用アリーナ「ピックルパーク」のオープンセレモニーの様子。
▶「picklepark.ind」インスタグラムより
DUPR Masters 大規模大会も
2024年10月には「PWR DUPR India Masters」がニューデリーで行われ、750人以上の選手が参加するビックイベントを成功させました。
▶「TIMES NOW」YouTubeより マスターズの様子
2024年11月には「World Pickleball Championship」がムンバイで行われ、インド初開催の世界選手権として注目されました。
また2025年7月には「Monsoon Pickleball Tournament」という大きな大会がムンバイで行われ、約900人が参加。ピックルボールのインド国内定着を印象付けたそうです。
▶「K-Pickleball」YouTubeより マスターズMonsoon Pickleball Tournamentの様子
マレーシア:急速に拡大中
マレーシアは前回お伝えした通り、インド同様、かなり急速に拡大中です。マレーシア・ピックルボール協会は40万人の登録メンバーがいるとうたっています。

同じスキルレベルのプレイヤー同士が交流できるプラットフォーム「Reclub」アプリは、マレーシアで14万3000人以上のアクティブユーザーを誇っているそうです。
また、世界ランキングシステム「ダイナミック・ユニバーサル・ピックルボール・レーティング(DUPR)」によると、マレーシアは世界でもピックルボールの成長率上位3カ国にランクされています。
全国で400以上のピックルボールコートがあるという情報もあります。
10数万人以上のプレーヤーがいると見られ、アジアでも有数のピックルボール大国なのは間違いなさそうです。
その他の国々
スター選手擁すベトナム
ベトナム国内で絶対的なプレーヤーとして君臨するフック・フイン(25歳)、米国生まれのベトナム系選手クアン・ドゥオン(19歳)など、スター選手を擁し、発展しています。
動画は盛り上がるミックスダブルスの様子
▶「PICKLEBALL 76」YouTubeより
アジア最古うたうシンガポール
シンガポールはアジアで最も古くからピックルボールを取り入れた国と自負しています。遅くとも2000年には学校やコミュニティスポーツの一環としてプレーされていた記録があるそうです。
▶「Yahoo Southeast Asia」YouTubeより
パタヤに立派なコートあるタイ
タイでも都市部を中心に競技人口が増加しており、パタヤには次の動画のような立派なコートが整備されています。
▶「Pickleball Global」YouTubeより
かなり差のあるデータから、なるべく冷静にアジア各国のピックルボール競技人口を推測してきました。まとめると、以下のようになりました。
アジアのピックルボール推定競技人口 | ||
国名 | 協会 団体 | 推定競技人口 |
中国 | 地方民間中心 | 数十万人 |
マレーシア | MPA | 10数万人 |
インド | AIPA | 6万人以上 |
ベトナム | VPA | 3万人以上 |
日本 | PJF JPA | 数万人 |
インドネシア | IPF | 2千人程度 |
韓国 | KPA | 数千人程度 |
台湾 | CTPA | 数千人程度 |
フィリピン | PPF | 数千人程度 |
シンガポール | SPA | 数千人程度 |
タイ | TPA | 数千人程度 |
中国、マレーシア、インドの3強は、おそらく間違いないでしょう。その後、ベトナム、日本が続くという予想を立てました。みなさんはどう思われますか?
オリンピック新種目に選ばれるためにも、もっともっと各国で認知が上がってほしいですね。