ピックルボールに救われた退役軍人

ピックルボールに救われた退役軍人

ピックルボールには人を救う力がある、「セラピー効果」があるという話です。
中東情勢が緊迫する今だからこそ知っておきたい、アメリカのピックルボール発展の背景にあった実話をご紹介します。
「人生が変わった」
最も象徴的なのは、アメリカ空軍の退役軍人コリー・ケリー(Kory Kelly)さんです。
彼はアフガニスタンから帰還後、
5年間ほど、重度のPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しんでいました。
外出も人付き合いも避ける生活を送っていました。
そんな彼を外へ連れ出したのは、80歳の母でした。
きっかけは、ピックルボールです。
そこで彼は、再び笑顔を取り戻します。
「このスポーツの宝は、そこに集まる人々だ!」
「ゲーム自体も素晴らしいけど、何よりも大切なのは人との繋がり。人生が変わったよ! 妻や家族と再び一緒に過ごせるようになったんだ」
この経験は高く評価され、ストーリー性や社会的影響力を重視する月間表彰「Athlete of the Month」、そして人生の再起を支援する「Hand Up from Humana奨学金」を受けています。
競技成績ではなく「人生の再起」が評価された象徴的な存在です。
▶「seniorgames1」インスタグラムより
「ありのままの自分でいられる」
陸軍退役軍人のアーネスト・フォックス3世(Ernest Fox III)さんも似たようなケースでした。
彼は母の死、離婚、そして息子を失うという悲しみが重なり、重いPTSDを発症していました。
「人が怖い」と人との関わりを避けてきましたが、それでも彼は、退役軍人向けのピックルボール大会に出場するため、2時間かけて会場へ向かいます。
その一歩が、すべてを変えました。
「ここでは、ありのままの自分でいられるんだ」。
「自分が救われたから」
海軍戦闘経験者であるジョー・ウィルソン(Joe Wilson)さんは、退役後の生活に適応できず苦しんでいました。
しかしピックルボールと出会い、心の安定と生きる目的を見つけます。
そして今度は、自らが支える側へ。
退役軍人同士がつながれるコミュニティーづくりや大会構想を進め「National Veterans Pickleball League」の設立を目指しています。
「自分が救われたから、他の退役軍人も救いたい」
ピックルボールを通じて、仲間意識と居場所を提供し、退役軍人の社会復帰を支えようとしています。
偶然ではなく科学的な裏付け
これらは単なる美談ではありません。
ピックルボールには、心理的な回復を支える要素がいくつもあります。
まず、自然と人と関われる環境が、PTSDの大きな問題である「孤独」を和らげます。
さらにダブルスによる仲間意識。
そして適度な運動によって分泌されるエンドルフィンが、不安や抑うつを軽減します。
加えて、戦略を考えることで思考が現在に向き、過去のつらい記憶から一時的に離れることもできます。
こうした複合的な効果が、退役軍人の社会復帰を後押ししているのです。
心の傷を追う前にできること
ピックルボールは単なるスポーツではありません。
コリー・ケリーさんは言いました
「ピックルボールは無料のセラピーだ」
この一言が心に刺さります。
戦争のない世界が一番望ましいのは言うまでもありません。
ピックルボールは傷ついた心を癒やします。
ですが、その力は、できることなら誰かが傷つく前に使えないものか。
争いとは逆の方向に働かせることはできないか。
そう考えさせられます。











