ピックルボールはテニスより簡単か?

ピックルボールはテニスより簡単か?

前回は「ピックルボールはテニスなどに比べて始めやすいスポーツ」というテーマで書きました。

それは、そのまま「ピックルボールはテニスより簡単」という答えに行き着くのでしょうか?
テニス歴30年→ピックルボール転向1年以上の、私「ピックル坊や」が実際に体験したリアルな感想を、今回は述べさせていただきたいと思います。
比較①最初の1日目は…
テニスに初めて触れたのは、もう40年以上前。最初の1日目の記憶は薄いですが、テニスは圧倒的に難しかったことだけはハッキリと覚えています。
球出しされたボールがコートに収まるのは10球に1球程度。実際にラリーすると1球目をミスすることが大半で、距離感が分からずボールに追いつけないことすらありました。
見よう見マネで憧れの高速フラットサーブを打とうとしますが、「ガシャ」っとラケットは鈍い音を立て、ボールはネットもしくは、サービスボックスのはるか彼方へ。
対してテニス歴30年後に始めたピックルボール初日は、と言えば…。
難しさはほとんど感じませんでした。
当然、ラケット競技を30年以上プレーした経験値は差し引かなければなりません。
ですが、スクールに来た完全初心者の方のプレーを見ても、球出しからのドライブは比較的コートに収まります。ディンクやベースラインでのラリーも、数回はほぼ必ずと言っていいほど続きます。
もちろん、不慣れな分、激しい回転のかかったボールを空振りしたり、アンダーハンドサーブがうまく入らずといったシーンは見受けられますが、あくまで時折です。
初回から楽しめるという点に関しては「ピックルボールが圧倒的に簡単」と言えるでしょう。

比較②技術の習得スピード
その後のテクニックの習得スピードについて見ていきましょう。
テニスの場合、ピックルボールより約3倍コートが広い分、かなりのフットワークが必要です。まずはボールに追いついて、自分の打点に入れるという作業に手一杯になります。
ネット手前に浅く落ちるドロップショット、ベースライン深くに突き刺さるボール。前後、左右の激しい動き。そこに一定ではないスピン、スライスのバウンドの高低が加わります。
長い距離を追い、長い距離にボール飛ばすため、フットワークと全身を使った安定したフォームづくりは不可欠になります。
ダブルフォルトすることなく、オーバーハンドでサーブを入れるという技術は、習得にかなり時間がかかります。
初心者ほど相手のロブ対策、すなわちスマッシュが必要になる時も多いです。
必修のテクニックが多岐にわたるため、すでに数年間経験のある相手との差は大きくなります。
試合になれば、6-0,6-0といった1ゲームも取れずに敗れるケースも多々あるでしょう。
ですが、ダブルスが主体のピックルボールの場合は、ボールに追いつくという点ではかなり楽です。
ボールを飛ばすということに関しても、パドルに当てることができれば、ある程度成立します。
何よりサーブを入れるという点では、テニスの苦労の比ではありません。
試合で上級者と戦った場合も、1ポイントも取れずに負けるということは、テニスに比べれば少ないと感じます。
試合ができる中級者までの到達は、ピックルボールの方が早いと言えるでしょう。
比較③身体的負担
テニスの場合、コートが広い分、コート全体をカバーする強靭な下半身と、かなりのフルスイングが必要になります。
さらにラケットとパドル、ボールなどの用具の違いも身体的負担に大きな差を与えます。
テニスボールはピックルボールの約2倍の重さ。スピンがかかり、勢いをあまり落とすことなく向かってくる跳ね上がったボールを打つのは、肩・肘・腰に大きな負担となります。
その点、軽くあまり跳ねないピックルボールのボールは、あまり負担がかかりません。肩口に跳ね上がることは、ほぼないので、子どもでも安心して取り組めます。
フィジカルの問題でプレー継続が難しくなることは、ピックルボールの方が少ない。
年齢を重ねても、長く続けやすいと言えるでしょう。
比較④戦術・頭脳面
戦術スキルという点ではどうでしょう。
テニス、ピックルボールとも必要なのは間違いありません。
ですが、テニスの場合は、相手のサーブが強烈だった場合、その1本だけで勝敗が決してしまうことがあります。
また少々レベル差がある場合、ショットの組み立て、展開を作るというよりも、パワーで解決できてしまうというケースもあります。
それはそれで、テニスの妙味としてはありでしょうが、ピックルボールの場合は、戦術理解は不可欠になります。
ネット前への移行、至近距離でのコースショットの読み合いは、どんなレベル同士の戦いでも発生します。
展開組み立てという面では、ピックルボールの方が、学ぶ点が多いと言えるでしょう。
比較⑤上級者の難易度
ここまで、習得の入り口から中級者までの難易度は、圧倒的にピックルボールの方が低く、戦術面は、ややピックルボールの方が重きが置かれると感じます。
最後に上級者に至った際の難易度について考えてみます。
テニスで必要なサーブ、リターン、ボレー、スマッシュ、緩急のショット、角度を使ったショット。そのすべてがピックルボールでも必要になります。
違いを見つけるとすれば、テニスよりもソフトタッチなショットの重要度、精密度が増すという点でしょうか。
フィジカルとパワーのテニス。
繊細なショットと戦術のピックルボール。
それは、比べるものではなく、どちらも極めるのは難しいという結論に至ります。
結論 テニス経験者にも 初心者にも
では、ピックルボールはどんな人に向いているのか?
まず間違いなく言えるのは、テニス経験者が「競技としての面白さ」を失わずに長く続けられるスポーツだという点です。
テニスのフルコートやフルスイングが厳しくなってきた人、ケガや年齢を理由にプレー頻度が落ちたといった方には、非常に自然な選択肢になります。
また最初からレベル差に関係なく楽しみたい、試合をやってみたい、という初心者にも、これほど向いている競技はなかなかありません。
入り口は圧倒的に優しく、奥行きはテニスと同じぐらい深い、私はそう感じています。











