キッチンラインの秘密

キッチンラインの秘密

私「ピックル坊や」が、ピックルボールを始めてまもなく、驚いたことの第1位が、屋内用と屋外用で穴開きボールが変わること。
第2位がバドミントンのサイズと同じと聞いていたコートのノンボレーゾーン(キッチン)のラインが微妙に違うこと、でした。
初の公式戦前日に、今とは違うラインが引き直されると聞き、思わず「え~っ」と大声をあげました。

バドミントンと全体面積は同じ
なぜ、それがこんなに驚くべきことなのか? ピックルボール誕生の瞬間から、ゆっくりおさらいしましょう。
ピックルボールの始まりは、暇を持て余した子どもたちを、卓球ラケットとプラスチック製の野球ボールを使って、バドミントンコートで遊ばせたことからでした。

もともとあったバドミントンコートを利用しているわけですから、そりゃあ、全体的な大きさは同じになりますよね。
縦13,4m、横6.1m、フィートで言えば覚えやすい44フィート✕20フィート。
ピックルボールとバドミントンのダブルスコートは全く同じサイズです。
キッチンラインが違う

これこそが、バドミントンとピックルボールは「ほぼ同じ」と教えられてきた由縁です。
ただしバドミントンの手前側のサービスラインをショートサービスラインと言うそうですが、そのラインとピックルボールのキッチンラインは、微妙に違います。これが「ほぼ」が付いていた理由だったのです。
バドミントンコートはネットから6.5フィート(1.9812m)分が公式ルールです。
しかしピックルボールではネットから7フィート(2.1336m)分。
15.24cm、ピックルボールのキッチンの方が広いのです。
皆さんご存知でしたか? これを知らずに冒頭の私は驚きの声を挙げたという訳です。
スマホの長さ分に絶句
ご存知のように、キッチン付近では、ラインを踏む踏まない、ネットを越える越えない、ノーバウンドで打てる打てないなど、実に微妙な「攻防」があります。ちなみに1フィートは成人男性の足の大きさ(1フット=約30cm)に由来していると言われています。
その半分、約15センチは、大きめのスマホの縦の長さ分です。
キッチンラインから必死に身を乗り出してプレーしていたのに、これは結構違う「大事件だ」と思ったのは私だけでしょうか。
サービスボックスという観点で言えば、15センチ以上小さくなるという訳です。ちなみに「キッチンラインを越えなければならない」というルールに則って、オンラインはフォルトになりましたよね。

なぜそんなことに
なぜ、キッチンラインをバドミントンのラインと同じにしなかったのでしょう。
USAPA ルール委員長のデニス・デイシー氏は次のように説明しているそうです。
「スポーツが発展して最初の 2 年間で、ノンボレーゾーンが考案され、ラインはさまざまな 6 インチ刻みで試されました。関係者が 7 フィートのラインが最も効果的だということに同意したのはこのときです。これは当時も現在もバドミントン ラインとは何の関係もありません」
1フィートは12インチ。その半分の6インチ(約15cm)ずつ広げていって、最も頃合いが良かったのが、たまたま7フィート(84インチ=2.1336m)だったということだそうです。
193センチの背の高い男がネットに詰めて攻撃するのを阻止するために生まれたというキッチンですが、その後はこうした細かい吟味の結果、今に至ったのだそうです。
ちなみにラインの幅は2インチ(5.08cm)と決まっています。

やはり結構違う
デイシー氏は「そうは思わないかもしれませんが、上級者とプレーする場合、6 インチは大きな違いを生みます。追加の 6 インチがあることで、良いドロップ ショットがしやすくなり、背の高いプレーヤーと背の低いプレーヤーが、より対等にプレーできるようになります」と話しています。
「練習の時はバドミントンと同じでいいでしょ」と言いたくなるところですが、こう聞くと、やはり、微妙な感覚の違いは出てくるものだと思うのです。
えっ、私の初公式戦の時の感覚ですか? 実のところ、緊張していたのか、いつもとあまり変わりませんでした。
どんな環境のコートでも「あれ? このラインの位置おかしくない?」と、即座にその差が分かるぐらいに、習熟度をあげたいものです(笑)。