ピックルボールとテニスの二刀流

ピックルボールとテニスの二刀流

テニス経験者で、ピックルボールをやられている方も多いと思いますが、今もテニスを並行して続けておられる方って、どれぐらいいるのでしょうか? そんな方なら、きっと気になるお話です。
ブシャールがテニス界復帰
テニスからの転向組として、たびたびご紹介してきた、ウージニー・ブシャール(Eugenie Bouchard)選手(31歳=カナダ)が先日、プロ女子テニスのツアーに復帰することが発表されました。
7月6日から13日にかけて行われるWTA125のホール・オブ・フェイム・オープン(米国ロードアイランド州ニューポート)にワイルドカード(特別主催者推薦)で出場します。
女子のトッププロが集う頂点がWTAツアーで、その下部ツアーにあたるのがWTA125です。ITFトーナーメントより格上と言っていい、れっきとしたプロのビッグ大会です。
2024年にピックルボール界に参戦したブシャールは、現在、PPAツアーでシングルス12位、ダブルス39位。なかなかの活躍を見せています。ですが、テニスコートに再び舞い戻ります。
ピックルボールを断念したのではなく、何とテニスと両方のツアーに挑戦しようというのです。
元テニスレジェンド、アンドレ・アガシ(55歳)が4月30日に「全米オープン・ピックルボール選手権」の混合ダブルスでピックルボールのプロとしてプレーしましたが、それとは少々、真剣味が違うように思います。


華々しいテニスの経歴
ご存じの方も多いと思いますが、ブシャール選手のテニス経歴を振り返っておきます。
1994年2月25日、カナダのモントリオール生まれ。5歳からテニスを始めて、12歳の時に米国フロリダに拠点を移し、2009年、15歳の時にプロ転向。2014年にはウィンブルドンのシングルス決勝、全豪オープンと全仏オープンの両方で準決勝に進出。
同年の世界ランクは5位にまで上り詰めました。
その後は故障やロッカールームで転んで脳震盪を起こしたり、右肩を手術するなど、不振にあえぎ、ダブルスプレーヤーとして活路を見出そうとしましたが、2022年、ついに世界ランキングは消滅。同年8月、17カ月ぶりにWTAツアーに復帰。2023年11月にはビリー・ジーン・キング・カップのカナダ代表としてダブルスで2勝を挙げ、同国の初優勝に貢献しました。
ツアーのシングルス出場は2024年8月のナショナルバンク・オープンが最後。その際は予選1回戦で日本の内島萌夏選手にフルセットの末、敗れています。
現在は、ピックルボールのツアーを回る傍ら、テニスチャンネルで解説も担当。その美貌も相まってファッションアイコンとしても活躍。今も各界から引っ張りだこの非常に人気の高いプレーヤーです。
2年ぶりテニスに注目
WTAツアーの本戦に限れば、2023年9月以来、約2年ぶりの復帰となります。
大会の公式サイトはトップページでブシャールの写真を大きく掲げています。
そして「世界中にファンを持つブシャール選手の復帰は、エキサイティングな試合と忘れられない瞬間を約束します」との文言とともにで、大々的にアピールしています。
アメリカ、カナダでの注目度の高さが伺えます。
▶「halloffameopen」インスタグラムより
二刀流目指す
昨年末のインタビューで、ブシャール選手は、ピックルボールを始めた当初のことを振り返っています。
「また最初からテニスをやり直しているような感じでした。学期の途中で学校が変わって、カフェに行っても誰も知らない、転校生みたいな気持ちでプレーしていました」と笑います。
▶「Tennis Insider Club」動画より
そして今後のテニスかピックルボールかの選択について、次のように語っています。
「ピックルボールも面白かったので両方やろうと決めました」
「1年目は上達したくてピックルボールに集中することにしました。テニスを完全には手放したくなかったんです。ですが、ピックルボールのツアーをプレーするのが楽しいし、その選択肢は、残しておきたいと思っています。今はそういう状況です」と話しています。
今後、どちらか1本を選択する可能性もなくはないですが、当面の間
ピックルボールとテニスの「二刀流」に挑戦するということのようです。
両方トップレベルでプレーは可能なのか
これまでテニスを引退して、ピックルボール転向の例はたくさんありました。
しかし、ブシャール選手は並行して、両方のツアーに挑もうというのです。
果たしてトッププロが、ピックルボールとテニス、両方で活躍できるのか、非常に興味がありませんか?
大阪から情報発信中の私「ピックル坊や」も25年以上のテニス経験者です。しかし、ピックルボールをプレーするにあたって、戸惑いの連続でした。力の入れ具合、テークバックの大きさ、キッチンでの動きなど、など。感覚的な違いは避けようがありません。よって、もう半年近くテニスラケットを握っていません。
できることなら両方楽しみたいのですが、同じラケットスポーツとはいえ「似て非なるもの」という言い訳が、そこにありました。
しかし、ブシャールが「二刀流」という新たな前例を作ってくれるかも知れません。
まずは7月、舞台はテニスならではの芝のコート。ピックルボーラーのブシャールが、変わらずテニスでも通用するのか、注目したいと思います。