ディンクのスピードアップ

ディンクのスピードアップ

ディンクで遅いボールをうまくコントロールしていると思ったら、突如、スピードアップをさせるテクニックを見たことはありませんか?

時間を奪われた相手は驚いたような表情で、ボールを浮かせてしまい、次のショットでポイントをあげるシーンです。プロの試合でよく見る緩急を使った得点パターンですね。今回はこの「スピードアップ」をうまく行うコツを学びたいと思います。
うまく偽装するために
いわゆる急激なチェンジオブペースです。成功か否かの最大のカギを握るのは、相手に、このショットがいつ来るかを読ませないことです。
テイクバックしない
「さあ打つぞ!」と知らせないようにしなければなりません。そのためテイクバックは一切不要です。体を横向きにする必要はありません。キッチンラインにスクエア(水平)に立ったまま、体の前でパドルをセットするだけの形で構いません。
パドルのヘッドを下げる
リストを完全にリラックスした状態にしておきます。パドルの先端はコートの方に向いた、下に落ちた形になります。そこから軽くリストを使ってボールを押し込みます。
下の動画では、フォアハンドの、トップスピンドロップと、スピードアップのフリック、どちらを打つか分かるでしょうか? とセットの状態の静止画2枚を見比べるよう求めています。
確かに、ほとんど見分けがつきません。水平な右足より前に手首がある状態でセットしてあり、テイクバックは、ここまでいらないのだ、ということがよくわかります。
▶「PrimeTime Pickleball」動画より
テニス経験者の私「ピックル坊や」は、テイクバックこそ小さいにしろ、きっちりと力み、きっちりと相手に読まれ、きっちりとアウトしていました(笑)。
自分がいいショットを打つことばかり気になっていましたが、それ以上に、相手に見破られないことが大事なようですね。
次の備えを忘れない
次の動画では「スピードアップ」の後もボールは返ってくるので、必ず次のショットに向けて、構えておくようにと強調しています。
自分が速く打った分、相手に返された時には、より速く相手からのボールは返ってきますから。
確かに自分が打った後、相手の反応や、ボールの軌道に気を取られて、パドルを構えるのが遅れたりしますよね。
▶「Enhance Pickleball」動画より
いつ発動するべきか?
いつがスピードアップを図るタイミングなのか。同じ動画では、次の3つをあげています。
バウンドが高い時
相手が高いバウンドのボールを打った時は、攻撃に転ずる最大の機会です。ネット下から振り上げるより、打ち下ろす方が圧倒的に相手コートに収まる可能性が高まりますし、相手も反応しづらくなります。
相手がバランスを崩している時
ディンクの左右の振り回しなどがうまく行って、相手がどちらか片方の足に体重をかけすぎたり、後方に下がり気味になった時はチャンスです。こちらも相手の反応が遅れます。
オープンスペースができた時
ディンクでうまく相手の逆をついたり、一方向に意識を向けられたりすると、オープンスペースが見える時が出てきます。これもチャンスです。ダウンザライン、相手ペアのセンター、どちらでも狙えます。

上記以外にも、例えばバウンドが低くても、相手の予想できないタイミングであれば、攻撃に転じることができます。
また常時スピードアップを狙っているようだと相手に読まれやすくなります。適切なタイミングを選ばないと、逆に相手からカウンターを食らうことになります。
どこを狙うべきか?
どこにターゲットを絞るかも非常に大切になります。
ダウンザライン
ストレートにオープンスペースが見えたら狙いどころです。相手はバックハンドで腕を伸ばして取らなければなりません。
相手の苦手なところ
相手の左肩、右肘が上がる、いわゆるチキンウイングになる打ちにくいところ。フォアとバックか迷う相手の右腰付近も有効です。正面だとアウトボールを触ってくれる可能性もあります。
相手パートナー
スピードをあげる場合、距離の長いクロスは基本避けるべきです。クロスディンクを行って、相手のボールが甘くなったら、正面のストレートへ打つのも狙い目です。ボールを打っていなかった方の相手パートナーは、どうしても反応が遅れやすくなります。ペアの間、センターを狙うこともできます。
大事な得点パターン
上級者になればなるほど、体の遠い狭いところを狙っていかないと、なかなかポイントにはつながらないそうです。さらにアウトボールはきっちりとウォッチされてしまいます。ワンバウドさせるのではなく、ダイレクトでボレーできる方が相手の反応時間を奪えますから、そこに持ち込むまで、我慢する必要がでてきます
いずれにしろ、われわれのレベルでも、うまくなるには、必ず習得しなければならないポイントパターンです。数少ないチャンスをものにして、きっちり得点したいものですね。